中学数学で特に重要な公式等3つ

試験というものを度外視して、中学校を卒業した後も(勉強を続けるなら)必要になるという意味で、中学数学において特に重要な公式等を3つ厳選してみたいと思います。

もちろん、それ以外のものは一切知らなくてもよいという意味ではありません。
ここでは、「特に重要なものを敢えて挙げるとしたら?」という事で挙げてみます。

また、「重要か・重要でないか」という事はどうしても主観的な面があります。「重要な公式」を集めたものは、じつは「数学的な意味での集合」ではない(!)という事が実は言えます。何が重要で何が重要でないかは人によって意味が異なる場合があり、正しいか正しくないかという事を絶対的に決められないからです。ここでは、高校や大学に進学して学習を続けた場合に欠かせないという意味での重要さを考えてみたいと思います。

BGM:MUSMUS CV:CeVIOさとうささら
中学数学で特に重要な公式等を3つ挙げるとしたら?

①三平方の定理(ピタゴラスの定理)

三平方の定理は直角三角形の辺の長さに対して成立する公式で、内容的にはそれほど複雑ではないので比較的分かりやすい公式かと思います。

$$直角三角形の斜辺cと、残り2辺a,bに対してa^2+b^2=c^2$$

基本的には図形に対して成立する公式であるわけですが、三角関数を考えるうえでの基本となる公式であり、直交座標上の2点間の距離を算出するのにも使う公式でもあります。複素数の極形式やベクトルの大きさの定義にも直結している公式であり、数学だけでなく物理学等でも頻繁に使う式になります。

三平方の定理が直接的に関わる事項
  • 三角比 および 三角関数の定義と公式
  • 直交座標上の2点間距離の算出(平面、空間の両方)
  • 極座標の式
  • 複素数の極形式(→微分方程式の解法として重要な場合あり)
  • ベクトルの大きさの算出(→力ベクトル、速度ベクトルなど、物理学で使用)

また、間接的に関わる事項として「平方根」の考え方も、三平方の定理を使って2点間の距離を算出するうえで特に必要になるものとなります。数学的にも、「無理数」に属する実数のうち初歩的なものとして2や3などの平方根を挙げる事ができます。

直角三角形と三平方の定理は、三角比と三角関数の考え方のおおもとになっています。
直交座標上の2点間の距離は三平方の定理によって算出します。
直交座標上の円の式なども三平方の定理を適用しています、

②因数分解と式の展開

2番目に挙げたいのは、もしかすると最も「役に立たないもの」として挙げられる事も多いかもしれない因数分解と、その逆の操作である式の展開です。

$$因数分解(例):x^2 – x=x(x-1)$$

$$式の展開(例):x(x+1)=x^2+x$$

因数分解とは要するに数や式を積(掛け算)の形に直すというだけのものですが、「実数(および複素数)に掛け算して0になる数は『0しかない』」という性質を使って方程式を解く基本的な方法として使われます。また、一見複雑な式を整理するためにも使いますので、数学の理論でも、物理学や工学の理論で数式を扱う際にも、因数分解と式の展開は計算の手法として必須です。

$$方程式の解法(例):x^3-3x^2+2x=0\Leftrightarrow x(x-2)(x-1)=0 \Leftrightarrow x=0,1,2$$

また、物理学等への数学の応用では微積分が重要ですが、微分および積分の初歩的な理論でも因数分解と式の展開は計算を進めるうえで必ず必要になります。

微積分を学ぶうえでも因数分解と式の展開の考え方は必要になります。

もちろん、因数分解の計算ができる事以上に重要な事として、ここで挙げたいずれの例においても「因数分解の計算」自体は目的ではないのが基本です。数学自体の理論でも、数学を応用する理論でも、基本的に因数分解や式の展開はあくまで計算の手段の1つです。従って、学習の目的を忘れてひたすら「因数分解の計算問題を解く」という事に没頭してしまうと(あるいは没頭させてしまうと)、「役に立たない」という事に繋がってしまうというのは確かに事実でしょう。

③マイナス×マイナス=プラス

3つ目として、因数分解等にも関連しますが、「マイナスとマイナスを掛け算するとプラスになる」という関係式を挙げておきたいと思います。

$$(-1)×(-1)=+1$$

$$計算例:(x-1)(x-2)=x^2-x-2x+2=x^2-3x+2\hspace{10pt}【(-1)×(-2)=+2】$$

この計算は、プラスの値の範囲の計算(例えば個数や金額の計算)ではそれほど重要ではないと言えます。しかし「向き」が関わる計算では重要である場合があり、とりわけ物理学では重要です。

あるベクトルの向きが逆向きである事を表すためにもマイナス符号は使われ、「2回反転させるともとの向きに戻る」といった事も、「マイナスとマイナスを掛け算するとプラスになる」という計算規則と調和するわけです。

また、複素数を構成する虚数単位はi=-1を満たす「数」として定義されますが、(-1)=1という計算のもとで、虚数単位iは1とー1以外の数で「4乗すると1になる数」という見方もできるわけです。この事は、より一般的な形で複素数の掛け算についての規則としてまとめられています(「ド・モアブルの定理」)。

そういった理論の考察をする基礎となる事から、(-1)×(-1)=+1という関係式は一見すると奇怪に思う人も多いかと思いますが、特に重要なものとしてここで挙げておきたいと思います。

直感的な説明の一例:7-3=4という引き算を、敢えて7-(5-2)=4と書いてみましょう。
この時、7から5を引いたら2で、元々の7-3=4から見ると多く「引き過ぎ」です。そこで、引き過ぎている分である2を加える、つまりプラスの値として加算すると正しい計算結果になります。
式と計算規則に対して、このような意味付けをする事は可能です。
この他に、マイナスの符号をプラス符号の「逆向き」として捉える例などもあります。

自乗と累乗・ベキ乗

「乗(じょう)」は数学では掛け算の意味です。掛け算の事を「乗法(じょうほう)」とも言います。
「~を掛け算する」という意味で「~を乗する」とも言います。

2乗(自乗、平方)の意味と表記

2×2=4、3×3=9、4×4=16など、
「同じ数を掛け算する事」を「自乗」あるいは「2乗」と言います。
これを2=4、3=9、4=16のようにも書きます。
「2の2乗(自乗)イコール4」などのように読みます。
また、後に少し触れるように「平方」という言葉も「2乗」の意味で使う事があります。

文字式や関数の場合でも同じで、xは「エックスの2乗(自乗)」もしくは「エックス2乗(自乗)」と読み、x・x(xとxとの掛け算)を表します。

  • (f(x))2 ・・・関数f(x) の2乗
  • 三角比および三角関数については、(sinθ)は sinθと書く。【sin(θ)と区別するため】
自乗とベキ乗

2乗(自乗、平方)の応用・使われ方

正方形の面積は一辺の長さの2乗になります。
面積の単位をcm平方センチメートル】やm【平方メートル】のように書くのはそのためです。
(例えば3cmであれば、1cmの正方形の3個分の広さ【面積】という事。)
また、円の面積は円周率と「半径の2乗」の積で表されます。
(※その公式の証明は、円周の長さの公式を半径で積分する、置換積分で計算する、微小な三角形の面積の合計と考えて「円周の長さ」×半径÷2として出す・・等の方法があります。)

そのように、面積を表すのに頻繁に使われる意味でも「2乗」というものは重要な掛け算になります。
直角三角形の斜辺の長さを表す三平方の定理も、c=a+bという2乗を含む形です。
ここでの「平方」とは「2乗」の意味です。
(※実際、定理の証明の1つでは面積を使います。そこにも2乗が出てくる意味を見出せます。)
これは直交座標上の「距離」を計算するのにも使うので重要な定理です。
それらに関連して、三角比での cosθ+sinθ=1という公式も重要です。

これは、面積を使うほうのタイプの三平方の定理の証明の説明図です。
図のように、「2乗」の項が各辺の長さを持つ正方形の面積という図形的意味を持ちます。

=4という計算に対し、逆にx=4を満たすxの事を「4の平方根と」言います。
(※そのような平方根となるxは、+2と-2の2つが該当します。)
「2乗するとaになる数」をaの「平方根」(あるいは「2乗根」)と言います。

負の数を2乗する場合には、マイナス符号をプラス符号に変えるという計算をします。
つまり、(-1)=+1という計算をするわけです。
マイナスを2乗するとプラスになる理由は、それが計算の定義であるからですが、もう少し考察して説明をする事は可能です。】

つまり正の数だろうと負の数だろうと、「2乗すると正の数になる」事は確定するわけです。
(例外は0で、0=0です。また、「虚数単位」はi=-1を満たすものとして敢えて定義します。)
そのため、絶対値を2乗する場合には単純に絶対値符号を取り払ってよいという計算になります。
|x|=xのように書いてよいという事です。

ax+bx+cの形の式をxに関する「2次式」と言います。
その中のaxの部分の事を「2次の項(=『xが2乗の形になっている項』)」と呼ぶ事もあります。ax+bx+c=0という形の方程式は「2次方程式」です。

(-1)×(―1)=+1になる理由は?
iの2乗はー1であると定義しています。

一般のベキ乗(累乗)と指数

同じ数を「3回掛け算する」事は「3乗」すると言います。

つまり、2×2×2=8、3×3×3=27、4×4×4=64などの事であり、
それらを2=8、3=27、4=64のように表記します。

サイコロのような立方体の体積は「一辺の長さの3乗」で表されます。
それに由来して、単位の体積はm【立方メートル】やcm【立方センチメートル】で表記します。
球の体積は半径の3乗に比例するという公式が成立します。

文字式等に対しても、r=r・r・r 【あるいはr×r×r】のように定義します。

4乗や5乗の場合も同じように表記します。

  • =2×2×2×2=16 【2の4乗】
  • =2×2×2×2×2=32 【2の5乗】

このように一般的にa【nは自然数「aのn乗」】で表された数を、
aの「累乗」あるいは「ベキ乗」と呼んだりもします。

=aを満たすxを、aの「n乗根」と言い、
そのようなn乗根一般の事を「累乗根」「ベキ乗根」と呼ぶ事もあります。
例えばx=5を満たすxは「5の3乗根」と呼ばれます。

無限級数展開のうち、xの形の項が続くものを特に「ベキ級数展開」と呼ぶ事もあります。

$$例えば e^x=1+x+\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{6}+\frac{x^4}{24}+\cdots 等です。$$

◆この例はマクローリン展開

◆「累(るい)」とは「重なり」「次々に重ねる事」を表す漢字です。
一般には「累積(るいせき)」や「累家(るいか。代々続いてきた家)」のような語で使われます。【野球の「ベース」は「塁」なので区別注意。】
「ベキ」については漢字では「冪」をあてます。
「冪」とは元々は「食物を覆う布」の事を意味します。

やxのようなxの形の単独の式(関数)は「単項式」と呼ぶ事があります。
それらの係数倍を加え合わせた式は「多項式」と呼ばれます。

  • 単項式:x、x、x、x
  • 多項式:1+2x【1次式】、1+x+3x【2次式】、1+x+x【3次式】
    (これらはxの関数とみなす場合には「1次関数」「2次関数」「3次関数」のようにも呼ばれます。)

1+x+x =0のような形の方程式は「3次方程式」です。

1+2x+x+x=0のように、4次の項を含む方程式は「4次方程式」です。

3次方程式の場合には方程式に図形的な意味もあります。

+an-1n-1+an-2n-2+・・・+a+ax+a=0の形の方程式は
「n次方程式」であり、そのようなn次方程式一般を「多項方程式」と呼びます。

というベキ乗の形の単項式に対して、aの部分を「指数」と呼びます。
例えばxの指数は3であり、xの指数は5であるといった具合になります。

この「指数」の部分は、数学的には実は自然数でなくてもよく、実数なら何でもあてる事ができます。【また、定義をきちんとすれば複素数を代入する事もできます。(複素数の指数関数表示)】

指数を全実数の範囲とする時には、次のような定義が行われます。$$x^0=1,\hspace{10pt}x^{-n}=\frac{1}{x^n},\hspace{10pt}x^{\large{\frac{1}{n}}}=^n\sqrt{x}【xのn乗根のうち正の数のもの】$$このような定義をすると、「正の数 x に対して \(x^a\)≦\(x^b\) ならば\(a≦b\)である」という関係が成立します。
指数として無理数を代入する時も、その関係式が成立するようになっています。 $$そのため、例えばx>0に対してx^3<x^{\pi}<x^{3.2}などが成立します。$$

単項式や多項式の場合と違って、ある数の指数の部分が変数になっているものは指数関数と呼ばれます。(高校の初等関数の1つ。指数関数は対数関数と対になっていて、互いに逆関数の関係にあります。)
それは例えば、2【2のx乗】やe【eは「自然対数の底」】といった関数であり、高校数学(特に微積分)や理工系の大学の学問でも重要な関数です。

立体の体積

体積の意味と考え方、柱体や錐体などの立体の体積の計算の仕方などについて説明します。

このページでは、「高さ」と言ったら断りのない限りは、底面から見た「立体的な意味での高さ」の事を意味しています。

立方体と柱体の体積

基本的には、1辺の長さが1の立方体の体積を1として、これが何個分あるかで立体の体積とします。それが2個分あれば体積は2、半分であれば1/2という具合です。面積が「広さ」を表す量であるのに対し、体積は大きさを表します。この時、1つの辺の長さが何倍かになれば、同じ割合で体積も増加します。

体積とは? ■ 体積の単位 ■ 柱体の体積の考え方 

体積とは?

その意味で、1辺の長さがaの立方体の体積は、a3になります。例えば1辺が2であれば2×2×2=8が体積で、「1辺が1の立方体」の8個分の大きさであるという事です。

また、直方体の体積は互いに垂直な方向に伸びた3つの辺の長さの積になります。底面が辺の長さaとbの長方形で、立体的な高さがcである直方体の体積はa×b×c(=abc)となります。

体積の単位

3つの辺の長さが掛けられるので、その意味で辺の長さに単位がついている場合には、例えばセンチメートルcmに対しては体積の単位はcmと書き、「立方センチメートル」と読みます。
単位がメートルであれば体積の単位はmと書き「立方メートル」と読みます。

この時の単位の換算は、1m=(100cm)と考えて、1m=1000000cm(=10cm)というふうにします。1立方メートルの体積は、100万立方センチメートルの体積に等しいという事です。これは、計算上の見かけはそうなるという事ではなくて、実際に立方メートルの体積の箱には1立方センチメートルのサイコロが100万個入る大きさであるという事です。

「え、そんなにたくさん入りますか・・?」

数字だけ見ると、確かにそんなに数が大きくなるだろうか?と、思ってしまいますね。しかし、100が100個あれば1万で、1万が100個あれば100万ですから、確かにそのような事になるのです。1cmのサイコロを1mの中に並べると、100個です。1mの長さの正方形には、それが100列ありますから1万個入ります。1mの長さの立方体には、それが100段ですから100万個になるという事です。身近な例で、計算してみると「意外と」大きくなるという例かもしれません。箱などの入れ物の体積を、特に「容積」と呼ぶ場合もありますが、数値として扱う時には体積と全く同じ単位や計算法を使います。

実用上の体積の単位として、「リットル」があります。記号ではℓ(「エル」の筆記体)を使います。【Lやl(小文字の「エル」)なども使われます。】これは牛乳などにも書いてある事もあるのでなじみがある人も多いかと思います。

実際、これは基本的には液体の体積を表すのに使われる事が多いものです。1リットルは、1000cmに等しい体積です。液体の体積や、液体を入れる容器の体積を特に「容量」と言う場合もあります。

化学などでは「ミリリットル」という単位もよく使います。記号は、mℓもしくはmlのように書きます。この「ミリ」は、「1ミリメートル【mm】」のミリと同じで、千分の1という意味です。【10mmは1cmですが、本来は1m=1000mmという換算です。】

つまり、1000mℓ=1ℓですが、1ℓ=1000cmでしたから、じつのところ1mℓと1cmは、体積としては全く同じです。ただ、ミリリットルのほうは液体の容量を指す事が多いという点が実用上の違いです。

柱体の体積の考え方

面積の場合、三角形の面積は
三角形→平行四辺形→長方形→「正方形が何個分詰まっている広さか」
という考え方のもとで計算していました。立体の体積も、基本的に同じ考え方です。

まず、三角柱を考えると、これは2個合わせれば底面が平行四辺形である四角柱になります。その四角柱は、出っ張っている部分を切り取って反対側にくっつければ、直方体になります。

つまり、底面の三角形の面積を出して、立体的な意味での高さを掛ければ、体積1の立方体が何個分あるかという意味での体積に等しくなります。

さらに、任意の多角柱は、三角柱に分割できます。という事は、角柱の場合には
「底面の図形の面積(=底面積)」×「立体的な意味での高さ」
によって体積が計算できるという事を意味します。

円柱や、さらには任意の閉曲面を底面とする柱体でも考え方は同じで、無数の細かい三角柱の体積の和の極限を考えます。一般に柱体の体積は「底面積」×「立体的な意味での高さ」で計算します。

平行6面体のような立体の体積も、「底面×立体的な意味での高さ」で計算できます。底面に平行な平面で各高さの断面を見ると平行四辺形である事によります。【そのような薄い四角柱の合計の極限・積分として考えると導出は楽です。】

錐体の体積

三角錐、多角錐、円錐の体積の場合は、底面積×高さ÷3で計算します。(これを使った計算は、中学校の数学や高校入試の問題でも問われる事があります。)

角錐や円錐の体積の公式

体積=底面積×高さ÷3

この「÷3」あるいは「×1/3」は一体どこから出てくるのかというと、一番簡単な導出方法は積分を使う方法ですが、それを使わないでも導出は可能です。

まず、三角錐からです。三角柱を考えて、これを体積が等しくなるように3分割する方法を考えます。この時に三角柱を、ちょうど体積が等しい三角錐3つで分割できます。三角柱の体積は「底面積×立体的な高さ」ですから、それを3で割って三角錐の体積になるというわけです。あるいは、三角錐を基準に考えるのであれば、「底面を共有し高さが等しく、かつ3倍の体積を持つ三角柱」を必ず考える事ができるので3で割ればよいというわけです。

三角錐の体積については、底面積と立体的な意味の高さが分かっていれば、三角錐である限りどんな形状であっても公式を使えます。また、三角錐には4つの面がありますが、どの面を底面としても、そこから高さを測れば体積の公式を使えます。

四角錐以上の多角錐は、全て底面を三角形の和として考える事ができます。そのため、多角錐の体積も同じく「底面積×立体的な高さ÷3」で計算できます。円も多角形で近似できるので、円錐の体積も同様になります。

柱体の時と同じ考え方で、多角錐と円錐についても同じく底面を三角形に分割して考えます。ただし四角錐以上の場合は、公式を使う時にどの面を底面として考えてもよいわけではなく、四角錐であれば四角形の面を、円錐であれば円の面を底面として、そこから高さを測ります。

球の体積については、図形だけから考えるのはかなり難しいので、積分によって体積の公式を出すのが普通です。結果は、半径をRとして(4/3)×R×円周率になります。

立体の図形【空間図形】

球・立方体・三角柱・三角錐などの立体的な図形です。
基本的な「立体」(りったい)の図形の名称や、用語について説明します。

平面図形をいくつか立体的に組み合わせる事で、箱やボールのような、高さや奥行きのある図形を作れます。平面図形では線が図形を構成しますが、立体では線で構成される「面」によって全体が構成される形になります。立体の図形では面が平面状になっているものだけでなく、曲がった「曲面」である事もあり得ます。

柱体と錐体

三角形の各頂点に、柱を立てるように「平面に対して垂直に」3本の線を引いて、下の三角形(「底面」)と平行になるように同じ三角形を屋根のようにおいたものを「三角柱」(さんかくちゅう)と言います。
壁のようになってる面(「側面」)は長方形または正方形になります。底面が正三角形の場合、「正三角柱」のように呼ぶ場合もあります。

同様に四角形に対して柱状に底面に垂直に線を引き、底面に平行になるように四角形の屋根をつけたものは四角柱とも言いますが、底面と側面のいずれかが長方形(正方形であってもいい)のものを特に「直方体」と呼び、サイコロのように全ての面が正方形であるものを「立方体」と呼ぶ事が多いです。

底面が5角形、6角形、・・の場合は5角柱、6角柱、n角柱のように呼びますが、それらは実際問題としてはそれほど多く使う語ではないかもしれません。
これらの、多角形を底面とする柱状の立体は「角柱」という名称で分類される事もあります。それらの底面が正多角形の場合は、三角柱の場合と同様に「正n角柱」「正多角柱」のように呼ぶ場合もあります。

底面が円の場合は、筒のような立体で「円柱」と呼ばれます。

角柱と角錐、円柱、円錐
いわゆるピラミッド型の立体は四角錐です。真上から見ると四角形になります。
1~6の目が出るサイコロは立方体です。

角柱のようにまっすぐ立っていなくて底面から斜めに向かって線分が伸びている図形も、もちろん一般的にはありえます。それらのうち、向かい合う面が1つの方向に平行であるものを特に「平行n面体」と呼ぶ事があります。角柱も平行n面体の特別な場合という事になります。特定の分野でたまに扱われるものとしては、平行6面体があります。

他方で底面の図形の各頂点から、立体的な意味で上下の方向に向かって1点に線が引かれて尖った立体になる場合は、底面の図形の種類によって「三角錐」(さんかくすい)「四角錐」「五角錐」「六角錐」「n角錐」「円錐」のように呼びます。これらはまとめて「錐体」と呼ばれる部類の立体です。そのうち底面が多角形のものは「角錐」として分類される事もあります。
「錐」という漢字は「すい」と呼ぶほかに「きり」とも呼んで、これは工具類の穴を開けるキリの事です。

角錐の底面が正多角形である場合で、底面の各頂点から1点に向かう線分の長さが全て等しい場合、角柱の時と同じように「正三角錐」「正四角錐」「正5角錐」・・・などと呼ぶ事もあります。

これらの三角柱や四角錐などの立体を、「面」の数に着目して呼ぶ言い方もあります。例えば、三角錐は底面1つと側面が3つで4つの面があるので「四面体」になります。三角柱であれば5つ面があるので「五面体」、直方体や立方体は6つの面があるので「六面体」になります。

この時、全ての面が同一の正多角形で構成されている立体を「正多面体」と言い、面の数に応じて「正n面体」のように呼びます。例えば、正三角形だけで構成されている三角錐は「正四面体」であり、正三角錐の特別な場合です。立方体は「正六面体」です。しかし、平面上の正多角形や、空間での正多角錐・正多角柱ではn≧3に対してあらゆるものを考える事ができるのに対して、正多面体としてあり得るものは、じつは立体的な構造により有限個に制限されます。
そのあり得る個数は意外と少なく、正多面体には正4面体・正6面体・正8面体・正12面体・正20面体だけがあります。これはじつは、角度が満たす関係から比較的容易に証明ができます。

立体の断面がどのような平面図形になるかという事も、立体の幾何学としてよく扱われるものです。

断面

曲面からなる立体・図形

算数や中学校では問題としてはあまり扱わないと思いますが、もっとまるまった形の「曲面」で構成される立体もあります。(上記の錐体の中でも、円錐は曲面を持つ立体です。)

ボールのような立体は数学では「」(きゅう)と呼びます。球の断面は円になります。

球に関しては、3次元の空間上で「中心からの距離が一定である点の集まり」として定義もされます。これは、平面で円を定義する時と全く同じ考え方です。

他方で、楕円を立体にしたような立体(断面は楕円)は、「扁球」(へんきゅう)あるいは「楕円体」などと呼ばれます。

また、浮き輪のような真ん中に穴があいた立体を「トーラス」と呼ぶ事もあります。このように、曲線・曲面で構成された立体というものも多く考える事ができます。球、楕円体、トーラスのように全体が包まれるようになっている空間上の立体を一般的に「閉曲面」と総称する事もあります。

球・楕円体・トーラス

高校で扱うもので多いのは「軸を中心に曲線を回転させたような立体」で、主に積分で体積計算の一例として扱われます。そういったものは「回転体」とも呼ばれます。球、楕円体、円柱、円錐などもその部類の立体として見る事もできます。

特殊なものとして、曲面がねじれて厳密には裏も表もない「メビウスの輪」のような図形も考えれます。これは、帯のような曲面を考えて(平面上ではなく空間上で)、1つの端の「表」をもう片方の端の「裏」にくっつける事で簡単に紙で工作もできる図形です。最初「表」と思われる箇所からたどって1周すると、端を「裏」に接着していましたから最初の位置の裏に来てしまうというものです。もちろん、2周すればもとの位置に戻るという事になります。

閉曲面、回転体、メビウスの輪

色々な平面図形

算数や数学ではいろいろな図形について学びます。

算数や数学という「数」を扱う勉強でなぜ「図形」の事を学ぶのかと疑問に思う人もいるかもしれませんが、基本的には算数や数学で扱うのは「図形の長さ」「広さ」「角度」・・といった、数量の計算として扱える部分です。

つまり図形に関して、長いとか短い、広いとか狭い、角ばっている、丸まっているなどといった特徴を数の大小として扱ったり計算したりする事を、算数や数学において学びます。あるいは、高校数学以降で教えられる内容ですが、例えば円と楕円の違いは何かといった事を数量によって特徴づけるという事をしたりします。

平面の図形を構成するもの

「形」あるいは「図形」には、丸(「円」【えん】)、三角形、四角形、六角形、楕円など色々なものがあります。これらは紙の上に描けるような平面図形です。あるいは、放物線や双曲線などのように、平面上で一定の形を持ちながらも延々と果てしなく続くものも図形と呼ぶのが普通です。

平面図形を構成するパーツとして、「」と「」があります。
「線」の中には「直線」と「曲線」があります。
いくつかの線や1つの曲線で囲まれる(「閉じている」)部分は「領域」と言ったりします。

平面図形を構成する部品
  1. 点・・1つだけポチっと平面上に打たれる「点」。長さがゼロ。
  2. 線・・無数の点の集まりで、長さを持ち、面積はゼロのもの
    • 直線・・まっすぐな線。【平面上で2点間が最短距離になる】
      直線上の2点間だけで構成される部分を特に「線分」(せんぶん)と言います。
    • 曲線・・曲がった線。無数の細かい直線の集まりともみなせる。
  3. 領域・・平面上で面積を持つ部分。線で区切られる・囲まれる場合が多い。
    無数の点・線の集まりともみなせる。
    ※領域の面積は必ずしも有限ではなく無限大でも可です。例えば平面全体、直線で区切られた平面の半分などを領域として考える事もできます。

これらは平面だけでなく、空間の図形を構成する部品でもあります。

直線で作られる平面図形

平行でない3本以上の直線を用意すると、領域を持つ図形を作れます。これが三角形、四角形、五角形、六角形、n角形・・などと呼ばれるもので、一般に「多角形」とも言います。
【3本以上の直線を用意しても、それらが「同じ1点で交わってしまう」場合には多角形はできません。】

多角形の、角ばっているところに対応する点(2直線が交わっている点)を「頂点」と言い、頂点同士を結ぶ線分を「」と言います。

図形ですから、図で見たほうが早いでしょう。
ただし、何かを計算したり証明したりする時には言葉で説明・表現できる事も重要である場合もあります。

正六角形は平面にすき間なく、しき詰める事ができます。

辺の長さが全て等しく、それぞれの内側の角度(内角)の大きさも等しい多角形を、特に「正三角形」「正四角形(=正方形)」「正五角形」「正六角形」「正n角形」・・のように呼び、これらを一般的にまとめた「正多角形」という表現も使います。

■多角形を考える時には、基本的に「へこんでる部分」がないように考えます。これは、辺同士のなす角のうち図形の内側にあるもの(「内角」)の大きさが180°未満であるとも表現できます。
ですから例えば星形の「☆」の図形などは、辺同士の交点が10個ありますが、これは10角形とは呼ばない事にするという決まりにしています。へこんでいる部分を含むためです。
へこんでいる事を凹(おう)、角ばっている事を凸(とつ)の漢字で表す事もあります。この凹・凸というのは数学独自の記号ではなく、一般にも一応使われる漢字です。

■三角形については辺の長さが等しいという時点で角度も全て等しくなります。しかし、四角形の場合だと辺の長さは等しく、角度は全て同じわけではないという場合(ひし形)があり得ます。同様に他の多角形でも、各辺の長さは全て等しいけれど内角の大きさが異なる場合はあり得ます。

三角形と四角形に関しては、特別な性質を持つものに別途名前をつけています。

三角形の名前 △
  • 正三角形・・3辺の長さが全て等しい三角形
  • 二等辺三角形・・2辺の長さが等しい三角形
    【その意味で正三角形も二等辺三角形に含まれます。】
  • 直角三角形・・1つの角度の大きさが直角(90°)である三角形
  • 鋭角三角形・・3つの角度の大きさ全てが、それぞれ90°未満である三角形
    【鋭角は「えいかく」と読みます。】
  • 鈍角三角形・・1つの角度の大きさが90°を超える三角形
    【鈍角は「どんかく」と読みます。】
  • 直角二等辺三角形・・二等辺三角形のうち、1つの角度の大きさが直角である三角形
四角形の名前 □
  • 正方形・・「正四角形」の通称。4つの辺の長さが全て等しく、内角の大きさが直角。
  • 長方形・・向かい合う辺(対辺)の長さが等しく、内角の大きさが直角である四角形
    正方形も長方形に含まれます。
  • 平行四辺形・・向かい合う辺が互いに平行である(この時、長さも等しくなる)四角形。
    正方形、長方形も平行四辺形に含まれます。
  • ひしがた【菱形】・・平行四辺形のうち、辺の長さが全て等しいもの。
    (※内角は等しくなくても可。ただし、対角は必ず等しくなる。)
    正方形は、ひし形に含まれます。
「辺の長さがそれぞれ等しいが、内角の大きさは必ずしも等しくない」多角形についての補足図です。
ひし形については、4つの合同な直角三角形で構成できる事から、平行四辺形でもある事や、対角線が直交する事などが分かります。
五角形については正方形に正三角形をつなぎ合わせたもの、六角形については三角形を軸対称に反転させながら作ったものなどが例として挙げられます。

三角形については多くの平面幾何の性質があります。

曲線による平面図形

曲線で作られる図形については、一番簡単なものが「円」です。円は「中心からの距離が等しくなる」図形(点の集まり)で、何かを固定してその周りを回転させると得られるものなので身の回りにもボール・何か巻いてある芯の断面、車輪や水車などで広く見られる形です。

他方、円を1つ以上の方向にだけ引き延ばす、あるいは縮小した「楕円」もあります。(定義は「2定点からの距離の和が等しい点の集まり」です。これは中学校では数学としては扱いません。)

身の回りで楕円が見られる簡単な例としては、円状の物を真正面からではなく斜めから見た時に見られる見かけ上の形です。当然ながら円を斜めから見れば1つの方向につぶれて細長く見えるわけですが、もとが円であればそれが楕円の形になります。

これは、正方形を斜めから見ると長方形にも見える、長方形を特定の斜めから見ると平行四辺形に見えるというのと同じ理屈です。

1つの平面の真上から見て図形の影を見るようにして作る図形を、数学の用語ではその図形の「射影」と言います。

円や楕円のように平面上で曲線が丸まって「閉じた」領域を持つ図形は一般的には「閉曲線」と呼ばれます。

これに対して、放物線や双曲線のように閉曲線ではない曲線もあります(「開曲線」とも言います)。

◆参考:接線線積分の定義と考え方(微積分を含みますが、曲線を対象とする積分理論の1つの例です。)

開曲線・閉曲線という考え方は、微積分の理論や物理学への応用の理論において重要となります。

関数で言うと、2次関数y=xは放物線、
反比例の関数y=1/x(とy=-1/x)は双曲線に該当します。

円に関しては平面幾何上の種々の性質や、円周・面積に関する種々の性質が成立します。

平方根って何だろう

平方根の考え方と基本計算について説明します。

英:平方根 square root

定義と記号の書き方

まずは定義と記号からです。

平方根とはどういうもの?

「2乗するとnになる数」の事をnの平方根と言います。
n>0の時、平方根はプラスものとマイナスのものの2つがあります。
この時、「nの平方根でプラス符号のもの」を特に「ルートn」と呼んで次の記号で書きます。
【root:植物の「根」。数学では「こん」と呼ぶ】$$\sqrt{n}\hspace{20pt}\sqrt{2}\hspace{20pt}\sqrt{3}$$ 「2乗すると2になる数」であれば「2の平方根」であり、
プラス符号のものを \(\sqrt{2}\) と書き「ルート2」と読みます。
これらを使って、マイナス符号の平方根は次のように表します。 $$-\sqrt{n}\hspace{20pt}-\sqrt{2}\hspace{20pt}-\sqrt{3}$$ マイナス1の2乗はプラス1なので、
これらを2乗しても確かにn、2、3といった数になります。

「平方」とは要するに「2乗」の事で、「平方根」の事を「2乗根」とも言います。
=2×2=4、3=3×3=9の「2乗」の事です。
長さの単位で、1平方センチメートル1cmというのがありますね。
あれに使われている「平方」です。

このとき、文字式を組み合わせた式の「平方根」を考える事もできます。
(これは一部、中学校の数学でも扱います。)$$\sqrt{x^2+y^2}\hspace{20pt}\sqrt{b^2-4ac}\hspace{20pt}\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}$$尚、これらの例は1つめが図形問題で三平方の定理を使う時に出てくるような式、
2番目は2次方程式の解の公式に出てくる項、
3番目は相対性理論で重要になる量の1つです。(cは光の速さ、vは物体の速さ)
平方根の考え方は中学数学だけでなく、数学全般や数理科学で普通に使うものですので基礎事項をしっかり理解しておくと後々便利です。
これらの基本的な考え方は\(\sqrt{2}\) や \(\sqrt{3}\)と同じで、2乗すると「平方根が消える」ような計算になります。$$\left(\sqrt{x+y}\right)^2=x+y\hspace{20pt}\left(\sqrt{b^2-4ac}\right)^2=b^2-4ac\hspace{20pt}\left(\sqrt{1-\frac{v^2}{c^2}}\right)^2=1-\frac{v^2}{c^2}$$

平方根の整数倍、例えば2倍、3倍などは \(2\sqrt{2}\) , \(3\sqrt{2}\) のように書きます。
文字式のaの2倍や3倍を2a、3aと書く感覚です。

平方根を何倍かした時の書き方

整数倍の時は次のようにします。 $$2×\sqrt{2}\hspace{3pt}=\hspace{3pt}2\sqrt{2}\hspace{15pt}-3×\sqrt{2}\hspace{3pt}=\hspace{3pt}-3\sqrt{2}のように書きます。$$ 一般的には、平方根を分数倍した時には分子に平方根を一緒に書く事が多いです。 $$\frac{1}{3}×\sqrt{2}=\frac{\sqrt{2}}{3}\hspace{15pt}\frac{2}{3}×\sqrt{2}=\frac{2\sqrt{2}}{3}$$ 文字式と平方根を組み合わせる時には、2a、3bと書く感覚で平方根を文字式の前に書きます。
そこにさらに整数倍がある時は、整数・平方根・文字式の順番にする事が多いです。 $$a×\sqrt{2}\hspace{3pt}=\hspace{3pt}\sqrt{2}a\hspace{15pt}2b×\sqrt{2}=2\sqrt{2}b$$

負の数に対しても平方根を考える事ができて、例えば-2の平方根は次の2つです。 $$\sqrt{-2}\hspace{3pt}=\hspace{3pt}i\sqrt{2}\hspace{20pt}-\sqrt{-2}\hspace{3pt}=\hspace{3pt}-i\sqrt{2}$$ これらは複素数というものに属します。実数の範囲では、2乗して負の数になる数は存在しません。

小数で表すとどのような大きさ?

「2乗すると2になる数」である \(\sqrt{2}\) とは具体的にはどのような大きさの数でしょう?

\(\sqrt{2}\) の大きさは小数で表すと約1.4142135・・・になります。
この小数点は無限に循環しない形で続き、\(\sqrt{2}\) は無理数になります。

てきとうなところで小数点を四捨五入したもの、例えば「1.414」として2乗してみると
1.414 × 1.414=1.999396 であり確かに2に近い数になります。

いくつか例を挙げてみると次のようになります。

  • \(\sqrt{2}\)=1.4142135・・・
  • \(\sqrt{3}\)=1.7320508・・・
  • \(\sqrt{4}\)=2
  • \(\sqrt{5}\)=2.2360679・・・
  • \(\sqrt{6}\)=2.4494897・・・
  • \(\sqrt{7}\)=2.6457513・・・
  • \(\sqrt{8}\)=2.8284271・・・
  • \(\sqrt{9}\)=3
  • \(\sqrt{10}\)=3.162276・・・

これらのうち、2=2×2=4、3=3×3=9ですから、
4の平方根と9の平方根を考えた時にはぴったりと整数の値になります。

自然数の平方根の多くは無理数になりますが、
数直線上に有理数と合わせて大小関係を比べる事ができます。

これら平方根の小数の値は、\(\sqrt{2}\) や \(\sqrt{3}\) に関しては「1.414」「1.732」といった数値を覚えておくと便利な事もありますが、他のものはそれほど覚える必要はありません。
(ましてや、延々と続く小数を覚える必要はありません。)

それよりも重要なのは、平方根の値がどれくらいの大きさなのかを見積もる方法です。

例えば \(\sqrt{7}\) の大きさを知りたい時に「2以上3以下」といった事を知るのはじつは簡単で、
<7<3という不等式によってその事を知れるのです。
もちろんこれは4<7<9という事です。
この不等式の各値の平方根(のプラスの値)を考えると2<\(\sqrt{7}\)<3となるので、
\(\sqrt{7}\) を小数で表した時の1以上の部分の値は2になると判定できるというわけです。
(実際の値は\(\sqrt{7}\)=2.6457513・・・)

そう考えると、\(\sqrt{5}\), \(\sqrt{6}\), \(\sqrt{7}\), \(\sqrt{8}\) の小数での値がいずれも 2.23・・などの、
「2より大きく3より小さい」値になるのは偶然ではなく必然という事になります。
5、6、7、8はいずれも4より大きく9より小さいからです。

この考え方は、何かてきとうな自然数の平方根に対して一般的に適用できます。
\(\sqrt{17}\) の大きさを見積もる時には
16<17<25、つまり4<17<5ですから
4<\(\sqrt{17}\)<5といった感じになります。(実際の値は\(\sqrt{17}\)=4.1231・・)

また、てきとうな\(\sqrt{151}\) といった数の大きさを見積もる時には
144<151<169、つまり12<151<13により、12<\(\sqrt{151}\)<13なので
\(\sqrt{151}\)=12.・・・・といった数になる事が分かります。(実際は12.2882・・)

この不等式の作り方・使い方に関しては高校入試でも問われる可能性はあります。

平方根に関する計算・公式

\(\sqrt{2}\) と \(\sqrt{8}\) の小数での値を比較すると、じつはちょうど2倍の関係になっています。

  • \(\sqrt{2}\)=1.4142135・・・
  • \(\sqrt{8}\)=2.8284271・・・=2×1.4142135・・・=\(2\sqrt{2}\)

これは偶然ではなく、8=2×2という関係があるのでそうなるのです。
\(2\sqrt{2}\) を2乗すると、確かに2×2=8になります。

一般的に、平方根の中に「何かの数の2乗」がある場合にこのような計算ができます。

平方根の中にある数の2乗が含まれる場合の計算 $$a>0として、\sqrt{a^2b}=a\sqrt{b}が成立します。$$

いくつか具体例を挙げると次のような感じです。

  • \(\sqrt{8}\) = \(2\sqrt{2}\)
  • \(\sqrt{12}\) = \(2\sqrt{3}\)
  • \(\sqrt{18}\) = \(3\sqrt{2}\)
  • \(\sqrt{24}\) = \(2\sqrt{6}\)
  • \(\sqrt{27}\) = \(3\sqrt{3}\)
  • \(\sqrt{32}\) = \(4\sqrt{2}\)
  • \(\sqrt{4x}\) = \(2\sqrt{x}\)

掛け算に慣れていないと少し分かりにくいかもしれませんが、
例えば32なら32=16×2=4×2のように考えるのです。それで\(\sqrt{32}\) = \(4\sqrt{2}\)になります。
(※入試対策としては、これを頭の中でできるようにするのが望ましいです。)

次に、「分母の有理化」という計算も重要です。
これは、分母に平方根がある場合には、分子と分母の両方にその平方根を掛ける事で
「分母を有理数にできる」という計算です。

分母の有理化 単独の平方根が分母にある時と、分母が平方根の和や差になっている時の2パターンがあります。 $$\frac{1}{\sqrt{a}}=\frac{\sqrt{a}}{\sqrt{a}×\sqrt{a}}=\frac{\sqrt{a}}{a}$$ $$\frac{1}{\sqrt{a}+\sqrt{b}}=\frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{(\sqrt{a}+\sqrt{b})(\sqrt{a}-\sqrt{b})}=\frac{\sqrt{a}-\sqrt{b}}{a-b}$$

1つめの式は、\(a=\sqrt{a}×\sqrt{a}\) を式変形して考えても同じです。

2つめの式は(a+b)(a-b)=a-bの関係を使っています。
同じ関係を使って、分母が平方根の差の場合には次のようにできます。$$\frac{1}{\sqrt{a}-\sqrt{b}}=\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}}{(\sqrt{a}-\sqrt{b})(\sqrt{a}+\sqrt{b})}=\frac{\sqrt{a}+\sqrt{b}}{a-b}$$

具体例では、例えば次のようになります。

$$\frac{1}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{2}}{2}\hspace{20pt}\frac{1}{\sqrt{3}}=\frac{\sqrt{3}}{3}\hspace{20pt}\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}=\frac{\sqrt{1-x^2}}{1-x^2}$$

$$\frac{1}{\sqrt{3}+\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{(\sqrt{3}+\sqrt{2})(\sqrt{3}-\sqrt{2})}=\frac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{3-2}=\frac{\sqrt{3}-\sqrt{2}}{1}=\sqrt{3}-\sqrt{2}$$

$$\frac{1}{\sqrt{2}-1}=\frac{\sqrt{2}+1}{(\sqrt{2}-1)(\sqrt{2}+1)}=\frac{\sqrt{2}+1}{2-1}=\frac{\sqrt{2}+1}{1}=\sqrt{2}+1$$

この具体例のように「分母の有理化」を行う事で分母が1になり実質的に「分母が消える」場合もあります。
慣れてくると、途中の計算は暗算でできるようにもなると思います。

平方根同士の掛け算・割り算と足し算・引き算については次のような規則が成立します。

平方根の四則演算
  1. 掛け算と割り算:
    平方根の中身同士の掛け算・割り算をして計算で可能。$$\sqrt{a}×\sqrt{b}=\sqrt{ab}\hspace{15pt}\frac{\sqrt{b}}{\sqrt{a}}=\sqrt{\frac{b}{a}}$$
  2. 足し算と引き算:
    基本的に同じ数の平方根同士で足し算・引き算を行い、そこからさらに計算したいなら小数で近似して数値的に加え合わせるなどする。 $$a\sqrt{c}+b\sqrt{c}=(a+b)\sqrt{c}\hspace{15pt}a\sqrt{c}-b\sqrt{c}=(a-b)\sqrt{c}$$ $$\sqrt{2}+\sqrt{3}のような式は、このままだとこれ以上計算できない。$$ $$(小数に近似すれば\sqrt{2}+\sqrt{3}≒1.414+1.732=3.146のようにできる)$$

平方根の掛け算については、(\(\sqrt{a}×\sqrt{b}\))=\(\sqrt{a}×\sqrt{a}×\sqrt{b}×\sqrt{b}=ab\) なので、
\(\sqrt{a}×\sqrt{b}=\sqrt{ab}\) としてよいという事です。

割り算のほうについては「分母の有理化」もできますが、分子と分母の両方に単独の平方根がある場合には先に割り算をして平方根をとる事も可能である、という意味です。

$$\sqrt{2}×\sqrt{3}=\sqrt{2×3}=\sqrt{6}\hspace{15pt}\frac{\sqrt{6}}{\sqrt{3}}=\sqrt{\frac{6}{3}}=\sqrt{2}$$

分母と分子にある平方根が単独ではなく和や差の形になっている場合には、項を分ける・分母の有理化をするなどの計算が必要になります。

$$\frac{2\sqrt{2}+\sqrt{6}}{\sqrt{2}}=\frac{2\sqrt{2}}{\sqrt{2}}+\frac{\sqrt{6}}{\sqrt{2}}=2+\sqrt{3}$$

$$\frac{\sqrt{6}}{\sqrt{3}-\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{6}(\sqrt{3}+\sqrt{2})}{(\sqrt{3}-\sqrt{2})(\sqrt{3}+\sqrt{2})}=\sqrt{6}(\sqrt{3}+\sqrt{2})=\sqrt{18}+\sqrt{12}=3\sqrt{2}+2\sqrt{3}$$

平方根の足し算や引き算は、基本的には文字式の足し算引き算のように考えるという事です。
例えば、文字式の場合には 2a+3a+b=5a+bのようにして、aとbの具体的な値が分からない限りはそこで計算はストップしますが、それと同じように考えるという事です。$$2\sqrt{2}+3\sqrt{2}+\sqrt{3}=5\sqrt{2}+\sqrt{3}【この先は平方根を含んだままの形では計算しない】$$

各平方根を有限の小数に近似する(つまり有理数に近似する)のであれば、さらに計算をする事が可能です。

分数とは?

分数について初歩的な事項から説明します。

分数の考え方は、小学校だけでなく、中学・高校・大学と続けて使います。

基本的な考え方:半分の事を1/2と書く

分数【ぶんすう】とは、割合を2つの整数(1,2,3など)で表したものを言います。
例えば、「半分」の事を、「2つ分のうちの1つ」という意味で1/2【にぶんのいち】と書きます。
この1/2が、「分数」で表された数という事です。
「3等分したものの1つ」であれば1/3のように書きます。

同じ数になるように分ける事・分割する事を「等分」【とうぶん】すると言います。
この表現を使うと、半分に分ける事を「2等分する」と言う事もできます。

分数は、次のように書いても同じものを表します。
教科書ではこのように書いてある事が多く、答案に書く時もこのようにする事を指導されるのが一般的です。

$$「2等分の1つ」\frac{1}{2}\hspace{20pt}「3等分の1つ」\frac{1}{3}\hspace{20pt}「4等分の1つ」\frac{1}{4}$$

1/2の、等分している数「2」を「分母」【ぶんぼ】と言います。
また、1/2の「1」を「分子」【ぶんし】と言います。
3等分したものを2つ集めると、2/3のような分数になります。2/3の分母は3、分子は2です。

1/2を3つ集めた3/2のような分数を考える事もできます。
1/2を「2ぶんの1」と読むのと同じように、3/2は「2ぶんの3」と読みます。
(2/3が「3ぶんの2」である事との区別に注意。)

半分が2つあれば、もちろん1になります。3等分したものを3つ集めれば1個に戻ります。これを式で書くと、1/2+1/2=1 あるいは (1/2)×2=1という形になります。

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{2}=\frac{1}{2}×2=1\hspace{20pt}\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}=\frac{1}{3}×3=1$$

分数の足し算は次のようにも書きます。

$$\frac{1+1}{2}=1\hspace{20pt}\frac{1+1+1}{3}=1$$

このように、「分母が同じ」分数は、分子だけで足し算や引き算を計算できます。

$$\frac{2}{5}+\frac{1}{5}=\frac{2+1}{5}=\frac{3}{5}\hspace{20pt}\frac{1}{4}+\frac{3}{4}=\frac{1+3}{4}=\frac{4}{4}=1$$

分数は本質的に「わり算」と同じ

「半分が2つ」あるとおおもとの1個に戻るので、もし「半分が4つ」あればおおもとの2個分になります。
「半分が6つ」あればおおもとの3個になります。
分子が「分母の数の倍数(2倍、3倍、4倍、・・)」であると、分数は整数に等しくなります。

$$\frac{2}{2}=1\hspace{20pt}\frac{4}{2}=2\hspace{20pt}\frac{6}{2}=3\hspace{20pt}\frac{8}{2}=4$$

$$\frac{3}{3}=1\hspace{20pt}\frac{6}{3}=2\hspace{20pt}\frac{9}{3}=3\hspace{20pt}\frac{12}{3}=4$$

これをよく見ると、分数とは「わり算」と同じ計算をしている事が分かります。
9÷3=3、12÷3=4ですが、これを分数で9/3=3、12/3=4と書いても同じ計算であるという事です。割り算で「あまり」がでる場合も含めて分数で表せるとも、言えます。5÷3=「1あまり2」ですが、これを分数で書くと5/3と書けます。5/3=3/3+2/3と書く事もできて、「3等分」を基準にした時に確かに2個分のあまりが出る事が分かります。

1/2という分数をさらに2で割ると、「半分の半分」、つまり1/4になります。1/2という分数をさらに3で割ると「半分の3等分」が2つできるので、つまりおおもとの1に対して6等分(=2×3)された数になります。このように、分数を割る時は「分母同士」をかける計算になります。

$$\frac{1}{2}÷2=\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{4}\hspace{20pt}\frac{1}{2}÷3=\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=\frac{1}{12}$$

分数を分数でわる計算については「分子と分母を入れ替えてかける」という操作をします。この計算はつまづきやすい所かと思いますが、別途に詳しく説明しています。

8等分して1/8を考える事は、1÷8という計算をする事と同じです。

「通分」の計算

1/3+1/3=2/3と計算できますが、1/2+1/3という足し算はそのままではどのような数になるのかよく分かりません。この時、分母の2と3について、2の倍数でもあり3の倍数である数を考えます。
6は2の倍数でもあり3の倍数でもあるので、6を使って1/2=3/6, 1/3=2/6と考えて
1/2+1/3=3/6+2/6=5/6のように計算します。
この「分母を同じ数にそろえる」作業を「通分」【つうぶん】と言う事があります。

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{3}{6}+\frac{2}{6}=\frac{5}{6}\hspace{20pt}\frac{1}{4}+\frac{1}{3}=\frac{3}{12}+\frac{4}{12}=\frac{7}{12}$$

3/7+2/3のような計算も同じようにします。これを通分すると分母は21になります。(3×7=21で見つけます。)この場合、分母に対する数と同じものを分子の数にもかけます。3/7の分母を21にする時、分母を3倍しているので分子も3倍にします。

$$\frac{3}{7}+\frac{2}{3}=\frac{3×3}{21}+\frac{2×7}{21}=\frac{9+14}{21}=\frac{13}{21}$$

1/2+1/3の計算で、2の倍数でもあり3の倍数でもある数は6だけでなく12や18もそうです。これらの数を使って「通分」して計算をしても同じ結果になります。(同じ結果になるので、普通は両方の分母の数の倍数であるもののうち「一番小さい数」を使います。)

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{6}{12}+\frac{4}{12}=\frac{10}{12}=\frac{5}{6}\hspace{20pt}\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{12}{24}+\frac{8}{24}=\frac{20}{24}=\frac{5}{6}$$

「約分」の計算

10/12=5/6という計算では10=2×5、12=2×6なので、
2を基準にした時に1/6の5個分である5/6と同じになるという事を言意味します。
5/6に2をかけて2でわるともちろん5/6のままなので、
5/6=(5/6)×2÷2=10/12と考える事もできます。

$$\frac{5}{6}=\frac{5}{6}×2÷2=\frac{5}{6}×2×\frac{1}{2}=\frac{10}{12}$$

10/12のように、一般的に分母の分子に共通の倍数(「約数」【やくすう】)があるとき、その数で分母と分子の両方をわる事ができます。この操作を約分【やくぶん】と言います。
10と12は、どちらも2の倍数である(「2を『約数』に持つ」)ので、分母と分子にあるときは2で割ってよいという計算になります。21/27のような場合、分子と分母を3で割って7/9になります。

$$\frac{6}{8}=\frac{3}{4}\hspace{20pt}\frac{12}{15}=\frac{4}{5}\hspace{20pt}\frac{21}{27}=\frac{7}{9}\hspace{20pt}\frac{10}{100}=\frac{1}{10}$$

6/8と3/4は同じ値を表します。

中学校以降で扱う分数では、一般に実数a,bを使ってa/bと分数を表してよい事になります。ただしこの時、b≠0という条件が課されます(特に高校数学以降では注意。)この時、aやbは負の数であってもよいし、2の平方根や円周率のような無理数であっても構いません。
計算規則は全て通常の分数と同じです。 $$任意の実数aと「0以外の任意の実数」bに対して\frac{a}{b}を考える事ができる。$$ $$例:\hspace{10pt}\frac{1}{\sqrt{2}}\hspace{20pt}\frac{-1}{2}\hspace{5pt}\left(= -\frac{1}{2}\right)\hspace{20pt}\frac{\pi}{3}$$

数学の勉強方法【入試対策】

「学校での数学の勉強方法は、一体どうしたらよいか?」「数学の成績を伸ばすにはどうしたらよいか?」
こういった事はよく聞かれるので、中学や高校での実践的な勉強法について紹介します。

実践的な勉強法を知り、身に付けよう

よく耳にする「勉強方法」としては、授業の予習復習を欠かさない・1日1時間でも30分でも勉強時間をとる・塾に通う・・等々というものです。これらについて私が聞いていて思うのは、科目の内容には直接的に言及しない一般論が極めて多いという事です。

それらの一般論は間違っているわけではありませんが、よい勉強方法というよりは「成績が良い子の特徴」を拾って列挙しているという面が結構強いのではないかと思います。もっと言うと、数学をあまり知らない人でも、成績優秀者にアンケート調査すれば分かる事を列挙しているようにも聞こえるのです。

よくある一般論的な「勉強方法」
  • 毎日の勉強時間の確保(例えば1時間でも30分でも)
  • 授業をただ受けるのではなく予習と復習を必ずする
  • 塾や予備校に通う
  • 将来の夢を明確にする事で勉強への意欲を高める 等

→ 正しい事も言っているが「現に成績が良い子」の特徴の列挙にとどまっている面もあり、成績改善のための根本的な指南にはなりにくい。指摘の範囲が広すぎて具体性を欠いている事も否定できない。

それらの一般論が間違っているわけではなく、時に重要性もある事は強調したうえで、ここではより実践的で実際の数学にも踏み込んだ形でのおすすめできる「勉強方法」について紹介したいと思います。

ここで述べる事は、数学が得意でない人が成績を伸ばすために役立つ事でありますが、すでにある程度得意な人が成績に伸び悩み行き詰った時や、さらに上を目指したい場合にも役立つ方法です。(上記のような一般論だと、予習や復習はしているけれど成績が伸び悩んでいる人などは対処のしようがなくなってしまいます。)

実際に中学校や高校に通っていると勉強や進路に関して難しい事もあろうかと思いますが、まずは学校の数学の授業で教わっている内容が一体何なのかを把握しましょう。それが正直よく分かっていない状態で、「試験があるので公式だけは暗記する」・・というのは一番危険な勉強法です。これは中学でも高校でも、数学の勉強に関して共通に言える事なのです。

数学公式を覚えるために「語呂合わせ」(社会科だと『いい国【1192】作ろう鎌倉幕府』などが有名)を使う事を勧める人もたまにいらっしゃいますが、それを絶対否定はしませんが、その方法はどうしてもどうやっても覚えられない時の最終手段だと思う事をここでは勧めます。そうではない方法についてここでは述べます。

数学の成績を伸ばす手段の1つとして「多くの練習問題を解いてみる」という事は有効な方法です。ただし、それは基礎事項がある程度分かっている(完璧でなくても)時に先に進む手段として効力を発揮するもので、解き方の原理が全く分かっていない状態で練習問題に取り組んでも効果が薄いのです。

従って、数学があまり得意でない場合には、まず基礎事項を把握する事から始めるのが第一歩です。この時、公式だけを見て暗記しようとするのではなく、その公式の意味の説明や解説をよく読み、最初は自分で解かなくてもいいのでどういった計算例などがあるのかをよく見るようにしましょう。

完璧に理解してなくてもいいので、何となくでも分かったら、簡単なものからでよいので練習問題を解いてみてください。そして計算の方法などが分かってきたら、入試問題の過去問題を解いてみるなどしてレベルを上げて行きます。

中学・高校ともに共通する勉強法として大事な事は、わけもわからずに漫然と問題に手をつける事を繰り返すのではなく、基礎事項を理解したうえで問題を多く解くという事です。それによって、基礎事項の理解もより深まるのです。

個々の具体的な基礎事項を勉強する時には教科書や参考書を見てもいいですし、このサイトでは数学の基礎・重要事項についてイラストや図式も使いながら詳しく分かりやすく解説しています。

それらの押さえておくべき基礎事項を分野ごとに具体的に把握し、整理しておく事も重要です。これについては、中学数学・高校数学等に分けて次に具体的に記していきましょう。

★「基礎」とは必ずしも「簡単」という意味では無く、土台になる部分という事です。ただし中学校や高校の範囲では、基礎事項とは「まずは簡単な事項・初歩的な事項」というふうに捉えても差し支えありません。

中学校での勉強法

中学校の数学であれば、まずはマイナスを含んだ式の計算、文字式の展開、文字式の因数分解といったものを教わり、試験にも出題されます。(この試験とは期末試験などの校内のものも、高校入試も含みます。)

中学校の場合、公立の高校入試であれば(どの都道府県でも)おおよそ出題範囲は決まっており、おおよそ次のようなものです。

中学校の数学で扱う基礎・重要事項
  • マイナス符号の扱い(マイナス同士の掛け算など)
  • 文字式の展開と因数分解
  • 平方根の扱い(分母の有理化など)
  • 方程式(1次方程式、1次の連立方程式、2次方程式
  • 2次関数と1次関数のグラフ問題(交点など)
  • 図形問題(作図、相似や合同の証明、辺の比・面積計算)【証明問題の勉強法については後述】
  • 初歩的な確率の問題(サイコロを2回ふるなど)
  • 統計(最頻値・中央値などの用語を把握したうえでのグラフの読み取り)
  • 立体に関する計算問題(展開図や平面での切り口)
  • 一部、自然数・整数に関する問題(約数、倍数、素数、個数の数え上げなど)

具体的な問題は、例えば次のようなものです。
「-2+5はいくらか」「(-2)×(-3)+1はいくらか」
「(x-2)(x-5) を展開しなさい」
「x-7x+10を因数分解しなさい」
などのような問題が解ければ、身もふたもない事ですが「数学の成績が上がる」わけです。
※公立高校の入試の場合、多くの都道府県で求められるのはこういうレベルの計算です。ただし学校によっては入試でそれが「正確に」(速く)解ける事が求められます。

ここで、個々の生徒の人によって、問題を見て思う事が違うでしょう。
「暗算レベルですぐに答えられる」
「紙に書いて落ち着いて計算すれば解答を出せる」
「やり方は一応分かっているけれど計算間違いをよくしてしまう」
「そもそも何をどうすればよいのか分からない」

計算は人によって得意不得意あるので解けないからといって悪い事は何もないのですが、成績を上げるにはどうすればよいかという観点からは、まずは当人がどのような理解度にあるのかを把握する事が第一歩です。

これは、本人が自分で気づけば一番良いですが、それができない場合には大人が指摘してあげる事も大事なのです。実際、塾や家庭教師、通信教育の中には、そういった適切な指摘をしながら問題演習を通じて成績向上に導いていくという手法をとっている場合もあります。がむしゃらに問題を解かせるというのも成績向上の手法として否定はしませんが、それは前述のように、あらかじめ一定の理解度のある生徒にとってさらに成績を伸ばすために有効な方法です。

先ほどの問題ですが、-2+5=3ですが、これは結局5-2と同じで、
「足し算と引き算は本質的に順序を入れ替えてもよい」「引き算は『マイナスの数を加える』とみなしてよい」といった事が分かっている前提があるわけです。

次に (-2)×(-3)+1=7ですが、
これは「マイナス同士の掛け算はプラスになる」事と、
「掛け算と割り算は、足し算・引き算よりも優先して行う」という規則を知っているかを問うているわけです。つまり(-2)×(-3)を先に計算して6にする必要があるわけで、-3とその右隣の1を先に掛けたりしてはいけないわけです。【(-2)×(-3+1)の場合には-3+1を先に計算します。】

因数分解の問題の場合には、まずはその逆である式の展開について分かっていて計算もできる事が重要です。x-7x+10=(x-2)(x-5) ですが、これをすぐに計算できるようにするためには因数分解とは逆の
(x-2)(x-5)=x-7x+10 という式の展開計算が問題なくできるという前提があります。
そういった点を見落とさず、整理する事が基礎事項を押さえるという事の1つの具体例です。

大事なのは、まずは生徒である本人がそういった計算における「ルール」を正確に知っているかどうかです。知っているのであれば、あとはひたすら問題を多く解いて計算の精度と速さを上げていくという勉強方法は確かに成績向上につながります。しかし正直よく分かっていない状態で、なかば当てずっぽう的に問題を解く事を繰り返している状況になっている場合には一度立ち止まる事も必要です。

結果的に言えば、成績の良い子は多くの公式を暗記してるはずだと思います。しかしそれは、公式の意味や使い方は把握しているうえで、練習問題を通して慣れる事によって記憶を定着させている事が普通なのです。

あやふやな点がある・正直よく分かっていないところがあるという場合は、問題は解かなくていいので基礎にもどりましょう。そこで内容の理解に努めてから、簡単な問題からでいいので練習してみて、分かってきたら問題集や過去問によって速く・正確に解けるように繰り返し解いてみましょう。【速く解ける事は、見直しの時間を確保したり、多少手間がかかる出題があった時に落ち着いて考える時間を確保する事に役立ちます。】

高校入試の場合、公立高校やそれに準じるレベルの私立高校の場合は「難問・奇問」は出さず、基礎事項さえ正確に把握していれば確実に解けるレベルの出題をしている場合が大半です。一部の「難関私立校」を受験したいと思う場合でも、基本問題は確実に速く解けるという事はまず必要であり、そこからさらにやや難しい問題を解く練習を積む事が勧められます。

次に、中学校の数学の中でも「証明問題」に対する勉強はどのように考えたらよいのかについて、少し述べておきます。

証明問題に対する勉強法

中学校に入ると「証明」問題というものが出てきます。これは確かに、一見すると小学校の算数との大きな違いです。

中学校で証明問題というと大抵は図形問題かと思います。これを得意にするためには、基礎となる定理や条件を整理して理解したうえで、入試の過去問題や練習問題を繰り返し解いて練習してみる事が有効です。
ですから基本的には他の計算問題と勉強法は同じというわけです。

大事な事は、問題を一気に解決してくれるような裏テク的な「特別な定理」を探そうとしない事です。
最も基礎になる定理だけをまず理解して整理し、具体的な問題に使う時はどうすればよいのかを問題を解きながら理解し慣れていく事が大事です。

押さえておくべき基礎的な定理や図形の性質は、具体的には次のようなものです。

中学校の図形問題の証明で必要な事項

覚える事項をこういった基礎事項に絞ったうえで、練習問題や過去問題によって使い方を練習していくのが勧められる勉強法です。問題はいくらでも異なるものがありますが、大抵の場合はパターンが限られています。

一部の私立高校の入試などで他に事項が必要と思われる時のみ、過去問題を精査したうえで特別な定理を覚えればよいでしょう。もちろん、入試の受験などを抜きにして、平面幾何の分野に興味を持った場合に教科書に載っていない色々な定理を調べてみるという事は何ら悪い事ではありません。

証明問題について、「論述」をする必要があるという事で苦手意識を持つ人もいるかもしれません。しかし、数学の証明は国語の作文や小論文とは根本的に異なるものです。そのため普段の勉強においても、数学の証明は国語の問題や試験とは全く違うものである事をまずおさえておく必要があります。
数学の証明問題は、読み手を説得させる文章を書く事が目的ではなく、
「数学的に論理的に正しい関係をつなげて(決まった)結論を出す」というだけのものです。
ここで、「論理的に正しい」という事には文学的な意味も哲学的な意味もなく、要するに正しい計算をしているか・正しい定理の内容を書いているか・図形問題であれば正しい辺と角度の関係を書いているかという事なのです。

高校での勉強法

高校数学の場合、難関の国立大・私大の入試で「奇抜」な問題が出題される事があるのでその事に目を奪われがちかもしれませんが、中学校の場合と同じく基礎事項を整理し把握したうえで練習問題・過去問題を使って練習する事が最も勧められる勉強法です。高校の学内の期末試験等の対策も同じになります。

大学入試の場合には個々の大学によって出題傾向や難易度の差が激しい場合もあるので、確かにひとくくりにできない面はあります。しかし、基礎事項を正確に把握している事はどこの大学の入試でも求められます。したがって、普段の勉強でも特殊な問題や「難問」を無理に解く訓練をするのではなくて、まずは基礎事項を組み合わせて解ける問題を確実に解けるようにする事が勧められる勉強法です。つまり基本姿勢は中学校の時と同じでよいのです。

数学科目で高校が中学校と異なる点は、勉強する範囲が広いのでいきなり全ての対策を一度にはできない事です。範囲が広いので、場当たり的に勉強してしまうとつい学習が不足している部分が出てきやすいのです。分かりやすいところからでいいので、1つ1つの分野を確実に把握していく事が重要と言えるでしょう。

高校数学の微積分以外の分野で知っておくべき基礎・重要事項は次のようになります。

高校数学の基礎・重要事項
  • 直交座標上の図形と式(1次関数2次関数、円、軌跡)【3次関数は主に微分の分野】
  • 数列(等差数列、等比数列、漸化式、階差数列、数学的帰納法)
  • 三角比三角関数(基本公式、弧度法余弦定理加法定理、極座標)
  • ベクトル(基本事項、内積、座標上の平行四辺形の面積など)
  • 集合と論理(包含関係、必要・十分条件、対偶証明法、背理法など)
  • 指数関数と対数関数
  • 場合の数と確率(順列組み合わせ、条件付き確率、期待値、分散など)
  • 統計(中学よりも範囲が少し広い)
  • その他小さい事(絶対値記号、和の記号(Σ)、二項定理、解と係数の関係、部分分数、中間値の定理など)
  • 行列(基本的に2次の正方行列に関する出題が多い)
  • 2次曲線(楕円、双曲線、一般の放物線)

★高校の場合、立体に関する問題は積分で体積を計算させる出題が比較的多いです。
★様々な分野がありますが、最終的には全く別々の切り離されたものではなくて互いに関係しているという事を意識する事も重要かと思います。

高校数学では数学を授業科目として3~6つに分類する事が多いですが、学習時にはあまりこういう分類にはこだわらずに「微積分」と「それ以外」くらいの分類の認識でもよいかもしれません。微積分の問題を解く場合にはそれ以外の事項の基礎知識が欠かせない場合も多いので、まずは「微積分以外」の分野をしっかり勉強しておく事が重要とも言えます。

高校数学では、どうしても「問題が解けない(解答にたどりつかない)」という場合が中学の場合と比べて多く発生すると思います。そういう時には、勉強の1つのコツとして、問題の「解答」を先に見てしまってください。

すると、じつは意外に簡単で基本的な基礎事項をいくつか組み合わせるだけの問題であったりします。それを知ったうえで、再度問題を解いたり他の問題にも手をつけてみて、そういったレベルのものであれば確実に解けるように練習を積んでみる事が勧められます。解答を見ても基礎事項の組み合わせで済むとは到底思えない「難問」の場合は、普段の勉強においても後回しにして放置して大丈夫です。
まずは、基礎事項とその組み合わせからなる問題を確実に・正確に・速く解けるようにしましょう

基礎事項がよく把握できていない場合は、落ち着いて分からない部分について一度基礎事項を整理し、内容の把握に努めましょう。この時、公式や定理だけを見て暗記しようとしない事が中学校の時以上に重要です。例えば三角関数の分野1つだけとってみても非常に多くの「公式」があり、無理に暗記しようとしても中学の時以上に相当厳しいものがあると思います。

暗記しないでどのように覚えるのかと言われるかもしれませんが、例えば三角関数で言えば正弦と余弦の公式を把握していれば正接の公式は計算で出せますし(その関係自体、重要事項です)、
sinθ+cosθ=1という基本公式は本質的には「三平方の定理」である事を理解していれば「暗記」の負担は相当に減るでしょう。余弦定理の場合、角度が直角である場合は三平方の定理に他ならない事を知っておけば、定理の内容の大半は全く新規のものではなく既に知っているという事になります。
このように、全ての定理や公式を全く別物と捉えるのではなくて、数学的な関連付けをする事で結果的に暗記する項目を減らせるのです。

そういった「整理された基礎事項の知識」を練習問題や入試問題を解く中でアウトプットしていく事を積み重ねていくと、数学の知識は定着し成績は伸びていきやすいかと思います。

高校数学の場合には「基礎」を正確に押さえる段階に至るまでが、中学の時と比べて労力を要するという面があるかもしれません。その事をあらかじめ踏まえて普段の勉強に取り組むと効率よい学習が可能でしょう。

高校数学の学習で特に気を付けるべき点
  • 高校数学では教わる内容の範囲が広い。(それぞれ無関係ではなく関連はある。)
  • 公式や定理の数も多く、相互の分野の関連付けをしないと基礎知識の整理が難しい場合もある。

微積分が出題範囲の時

大学の理系の学部の入試では微積分まで問われる事が多いと思います。

微積分の範囲まで学習する場合には、微分の場合には関数の極大・極小を調べてグラフを描く問題、積分の場合には面積・体積を計算する問題が比較的多く、合成関数や積の微分公式、置換積分・部分積分の公式なども合わせて使う場合もあります。また一部、特定の関数の極限を計算させる出題などもあります。

勉強法としては微積分以外の分野と同じように考えます。

ただし微積分に関しては、まず基本になるのが微分のほうで、その計算に慣れてきたら積分のほうに移れるという性格が強いです。(これは積分は微分の逆演算であるという性質によります。)また三角関数や指数関数の知識など、微積分以外の分野の正確な理解が必要な事も多いです。そのため、それらの理解がまだじゅうぶんでない場合には一度戻ってみる事も有効な手段かもしれません。

まとめと結び

こういった勉強法は、中学や高校だけでなく、資格取得などの時にも有効なものです。まず必要な基礎事項を詳しく整理・把握・理解し【それは「公式」の暗記ではありません】、演習問題・試験の過去問題を使って練習を積むというものです。

数学の成績を伸ばすために勧められる勉強法について以上の事を整理しておきます。

まとめ
  • 数学を勉強する時には、まずは基礎知識を大事にしよう
  • 出題範囲を整理して、勉強不足の分野がないようにしよう
  • 公式や定理を無理に暗記するのは避け、内容の理解に努めよう
  • 基礎知識がある程度理解できたら、その知識が完璧でなくてもいいので練習問題や入試の過去問題を解いてみるようにする。それによって知識が定着する。
  • 理解が不足している場合にはもう一度基礎知識の整理に戻る
  • 出題範囲が広い・公式の数が多いといった時には相互の数学的な関連を理解する等の、何らかの工夫が必要がある場合もある
  • 高校数学でどうしても解答が出せない場合は解答を見てしまうのも1つの手。基礎知識の組み合わせで解ける事も多く、それを知る事自体が勉強になる。それを踏まえて改めて問題を解くようにする。

大学数学の場合は、必ずしも問題を解く事が学ぶ目的ではないのですが、大学によって試験で高得点をとる事・問題を解く事を重視する方針であるというのであれば、やる事は高校までの勉強法と同じです。
(個人的には、問題を解くという事に関しては多くの人が高校までにじゅうぶんやってきていると思うので、大学ではもう少し学問や研究をするという意味での勉強に重点を置いたほうがよいのではないかという気はいたします。)

三角形の合同

2つの三角形が合同であるとは、形も大きさも全く同じである事を言います。
形も大きさも同じという事は、面積も等しくなります。

合同な三角形であっても、向きなどが別々の方向を向いていて「見た目」が異なってる場合もあります。2つの三角形が合同であるかを調べるには次の3つの条件を満たしているかを調べます:

三角形の合同条件

次のいずれか1つを満たせば2つの三角形は合同です。

  1. 3辺の長さがそれぞれ等しい
  2. 2辺の長さとそのはさむ角の大きさが等しい
  3. 1辺の長さと両端の角の大きさがそれぞれ等しい

2つの三角形が合同である事は「3本線」の記号を使って△ABC≡△DEFのように書きます。この時、角度が等しい頂点が対応するようにします。例えば△ABC≡△DEFと書いている場合には∠BCA=∠EFDである事も表しています。

合同である三角形は、この3つの条件全てを満たします。つまり、1つの条件を満たせば他の2つの条件も同時に満たされるという事です。合同である事を証明するには1つの条件が満たされている事を示せば十分という事になります。

三角形の合同条件
2つの三角形が合同である事の証明においては例えば「2辺とそのはさむ角」の条件を使う場合には、①AC=A’C’ ②BC=B’C’ ③∠ACB=∠A’C’B’ の3つを明らかにする事で△ABCと△A’B’C’ は合同である事を証明できます。

図を見ると分かりやすいと思うのですが、ある三角形に対して合同な別の三角形とは、1つの三角形を回転や反転させたものであると言う事もできます。イメージとしてそのように捉えるとよいでしょう。
回転や反転は角度や辺の長さを「不変」に保つ操作であるとも言えます。

合同の関係と似ているものとして、相似の関係があります。相似とは「形だけが同じで大きさは違う」というものです。

形も大きさも同じである場合が合同の関係であり、2つの三角形が合同である場合は相似である条件も満たしています。つまり、合同と相似は無関係なものではなくて、形も大きさも等しくなるためのやや厳しい条件が課されるのが合同で、形だけが等しい緩い条件だけが課されているのが相似というわけです。

一見すると合同にはみえないけれどよく見ると合同であるという例は、例えば三平方の定理の証明の1つで見られます。この例では形も大きさも全く同じ三角形が存在するのですが、向いている方向が全く異なるうえに他の様々な線が入り乱れているので気付きにくいのです。

合同な三角形の例
右側の図には互いに合同な三角形が2つあります。

しかし、丁寧に辺の長さや角度を調べると確かに合同である事を示せます。この場合では「2辺とその挟む角が等しい」という条件を使っています。

図の3つの四角形は「正方形」であるという条件があるので、
AC=AC’ AB=AB’ という長さの関係がまずあります。
次に、∠BAC=∠CAB+∠CAC’=∠CAB+90°ですが、
他方で∠B’AC’=∠CAB+∠B’AB=∠CAB+90°なので
∠BAC=∠B’AC’になります。
ゆえに、△ABC≡△AB’C’ である、と証明されます。

こういう具合に、合同である事を示すわけです。
尚、この例の場合では、「合同ゆえに面積も等しい」と話が続いていきます。

このように「見ただけでは分かりにくい」場合であっても、辺の長さや角度を調べて合同である事を確かに示せる場合があるわけです。数学的に論証するという事を学ぶ1つの意味がここにあります。単に論理的な思考をするというだけでなくて、事実関係の検証をする1つのツールとしての意味があるという事です。

3辺が全て等しいという条件を使う場合も、たまにあります。例えば、円に外接する三角形の頂点と円の中心で構成される2つの三角形です。

合同な三角形の例②
右側の図の小さな三角形2つは互いに合同です。

上図において、△AOCと△BOCに注目します。
まず、同じ円の半径なのでOA=OBです。
また、辺OCは共有されているのでもちろん長さは2つの三角形で等しいのです。
さらにここで、∠OAC=∠OBC=90°なので、三平方の定理によりAC=BCになります。
よって2つの三角形の3つの辺の長さはそれぞれ等しく、確かに△AOC≡△BOCというわけです。

☆この場合について細かい事を言うと、∠OAC=∠OBCであっても、90°でなければ、この部分の角の大きさが等しいというだけで合同とは言えないのです。
これは、式で示すのであれば余弦定理を使います。すると、90°以外でこの部分の角の大きさが等しい場合には、ACの長さとして「2つ」の解が得られる事があります。つまり、合同である場合とそうでない場合が生じ得るのです。
そのため、2辺の長さと「どれでもいいから1つの角」が等しいというだけでは、それだけで必ず合同であるとは断定できないのです。他方、その角度が90°であれば余弦定理において解は1つだけなので合同であると言えます。もちろん、直角三角形において余弦定理は三平方の定理そのものです。
詳しく言うと、「2つの三角形が合同である」⇒『2辺の長さとどれか1つの角が互いに等しい』
という関係式は正しいのですが、その逆は言えないという事です。『2辺の長さとどれか1つの角が互いに等しい』という事は、2つの三角形が合同である事の必要条件ではあるけれども十分条件ではない、という事です。(この考え方は中学校では必要ありません。)

合同条件に関する注意点
2辺とその「はさむ角」がそれぞれ等しい場合に2つの三角形は合同になりますが、2辺が「はさんでいるわけではない」角度が等しい場合はどうなるのかを図で説明しています。

逆に、見た感じ同じ形・大きさに見えるけれどもきちんと調べるとじつは合同ではないというパターンもあり得ます。描かれた図ではいかにもそれらしく見えるけれども、条件を整理すると合同の3条件のいずれにも当てはまらず「じつは形も大きさも違う」という事が判明する場合もあります。

ここでは、あくまで図形問題に限定してという話ではありますが、「見た目」で判断するのではなく論拠を備えて検証するという事が三角形の合同条件や相似条件の学習において重要なポイントの1つです。これは試験問題を解くという話の中でも重要なので、おさえておきたいところです。

三角形の相似

三角形の相似条件は高校入試を始めとして中学数学では重要事項の1つです。

図形問題を解くために必要という事でもありますが、三平方の定理などの重要な定理が成立するための根拠の1つになっている事なども重要と言えるでしょう。

平面において2つの三角形が「相似【そうじ】」であるとは、
ごく簡単に言うと「大きさは違うが形は同じ」であるという事です。

★これに対して、「大きさも形も同じ」なのが三角形の合同です。
意味する事と、成立する条件の違いに注意しましょう。
合同と相似は一見似ていますが扱い方が違うものなので、気を付けましょう。
「2つの三角形が互いに合同」ならば「2つの三角形は互いに相似でもある」と、確かに言えます。 しかしこの逆は成り立ちません。「相似であるから合同でもある」と言ったら、それは間違いです。
【※中学数学の範囲外になりますが詳しくは必要条件と十分条件の関係から把握する事になります。合同である事は相似である事を含んでいるという包含関係になります。】
そのため、合同と相似をごっちゃにしてはならず、関係を意識しながらも丁寧に別々に整理する事が必要であり、重要でもあるのです。

2つの三角形が合同であるならば、相似でもあるとは言えます。相似であっても合同ではない場合があります。

もっとも、単に見た目が似ているというだけでは相似であるとは言わず、きちんと数学的な条件があります。

相似条件と証明での使い方

次の3つの条件の「いずれか」を満たす2つの三角形は互いに相似であると言います。「いずれか」という事は、「1つでも当てはまればよい」という事です。

2つの三角形が相似であるための条件

次のいずれか1つが成立するならば2つの三角形は互いに相似です。

  1. 2組の角の大きさがそれぞれ等しい
  2. 2組の辺の長さの比と、その挟む角の大きさがそれぞれ等しい
  3. 3組の辺の長さの比がそれぞれ等しい

この時「△ABCと△DEFは(互いに)相似である」などと言い、△ABC∽△DEFとも書きます。(無限大の記号に似てますが別物です。)この時、「同じ形」として対応する角が順番通りになるように書きます。
相似な2つの三角形の互いの「辺の長さの比」を相似比と言います。例えば1:2とか1:3という関係が成立します。場合によっては整数比とは限らず、1:\(\sqrt{2}\) とか2:\(\sqrt{3}\) などの相似比もあり得ます。

三角形同士が相似である事がひとたび判明すれば、これら3つの条件は全て成立します。つまり、例えば2組の角度が等しいという条件が成立すれば、3組の辺の長さの比もそれぞれ等しいという事です。

ただし、相似である事を証明するためにはどれか1つだけ判明していればよいという事です。

★比較する2つの三角形が直角三角形であれば、その時点で「対応する1つの角がそれぞれ等しい(90°で等しい)」事は言えているので、もう1つだけ等しい角度を見つければよいといった作業になります。

繰り返しますが合同条件と似ていますが違うもの(相似条件のほうが制約が緩い)なので注意しましょう。
例えば、辺の長さが分からないけれど角度だけで比較できるのは相似条件のほうであって、合同条件にはそのような条件はないのです。(暗記するのではなく意味を考えてみると分かりやすいと思います。角度だけが分かっている場合、形は同じであっても辺の長さは伸び縮み可能なのです。)

合同である場合は「相似比」が1:1であると言う事もできます。それが「大きさも同じ」という意味であって、大きさが異なる場合には相似比が1:2とか2:3とかになるわけでそのような場合も含めた「形は同じだが大きさは異なる」関係を相似と呼ぶわけです。

2つの三角形が相似である事を正確に見るには、「証明」が必要です。これは、見た感じ「同じ形」に見えるけれど実際は違う(辺の比が一定にならない、角度が異なる)という事があるからです。

高校入試の出題として多いのは「2組の角の大きさがそれぞれ等しい」事を使うパターンです。これは、同じ大きさの角度である部分が2つ見つかればよいという事です。
より具体的には、対頂角の関係、平行線の同位角・錯角の関係、円周角の定理などを使って「角度の大きさが等しい」事を示します。また、共有する角がある場合にはもちろんその角度は2つの三角形で等しいのです。

証明のパターン
中学数学・高校入試で問われるパターンはこういったものが多いです。あらかじめ直角三角形という条件が与えられる事で残り1つの角の大きさだけを調べればよい場合もあります。

残りの2条件は証明の時に使う事もありますが、むしろ相似である事が証明された後に辺の比や面積比を計算させる問いで使われる事が多いように思います。

相似な三角形の面積比

三角形の相似比(辺の長さの比)が1:nの場合、面積比は1:nになります。
これは、例えば1つの三角についての底辺がn倍、高さについてもn倍になるためです。

高校入試ではよく問われる事項です。

相似な2つの三角形の面積比

辺の長さの比が1:nの相似な三角形の面積比は1:nになります。
(辺の長さの比がa:bなら、面積比はa:b

例えば底辺が2、高さが3の三角形の面積は2×3÷2=3ですが、
各辺の長さが2倍になったとすると、高さも2倍になる事に注意して
面積は(2×2)×(3×2)÷2=12
つまり2×2=4倍になるという事です。

これは公式として関係式を暗記するのではなく、図に描いてイメージしながら練習してみたほうがよいと思います。

この図の場合、相似な三角形の辺の長さの比は1:3です。相似比が整数のようにきれいな値の場合は図に描いてみて何倍になるのかというイメージをつかむのもよいと思います。平行線の補助線を引く事で図の大きな三角形を9分割できます。三角形の高さも確かに相似比倍になる事については、垂線を補助線として描けば直角三角形についても相似関係が成立する事から分かります。

辺の長さの比が1:3ではなく2:3のような場合は面積比は2:3=4:9です。

$$辺の長さの比が2:3であれば大きい三角形の面積は小さい三角形の\left(\frac{3}{2}\right)^2=\frac{9}{4}倍$$

辺の比に関する補足説明

相似な三角形の辺の比に関して、補足的な説明をします。

三角形同士が相似である場合に「対応する辺同士の比」は等しくこれを相似比と言うのは前述の通りです。

他方で「同じ三角形の中の辺同士の比」も、相似な2つの三角形で等しくなるのです。これは1つの三角形の中で3通りの比がありますからもちろん一定ではなく、一般的に相似比とも異なる値になります。

しかし、例えば△ABCでAB:BC=1:3であったとすると、それに相似な三角形△DEFがあったときにDE:EF=1:3という事も同じく言えるという意味です。
この時、AC:AB=2:5であれば同様にDF:DE=2:5という事です。
(※この場合、この条件だけから具体的な相似比は分からない事には注意。互いの対応する辺の長さの比に関して、相似比という一定の比がある事だけ分かります。)

式で書くと、△ABC∽△DEFであれば、
AB/DE=AC/DFという比の関係(この一定の比が相似比)に加えて
AB/AC=DE/DF という関係も成り立つという事です。

これは、じつは結構単純な話です。
AB/DE=AC/DF の両辺をACで割り、両辺にDEをかける事で得られます。
式変形をしなくても相似関係にあるという事は同じ形で大きさだけが異なると意味を考えれば分かりやすいかと思います。

「形は同じでサイズだけが違う」というイメージをつかむと難しさが消えるでしょう。
辺の長さの関係を丁寧に整理する必要がある場合もある事にだけ注意。

証明問題も含めて、図形問題が得意になるコツはあまり難しく考えない事です。
意味を考えながら図を描いてみましょう。

他に図形問題として関連が深いのは角の二等分線と三角形の辺の比の関係などで、これは三角形の相似を根拠として成立します。三角形の相似についてじゅうぶん理解していれば、関係式を暗記せずにその場で導出する事も可能なのです。

「形」さえ同じであれば、三角形の中の2辺の「比」が一定であるという事は、三角比の考え方の基礎となっています。これは、直角三角形に限定して、特定の角度に対しては2つの辺の長さは一定になる事を利用して決められるものです。高校数学で教えられるものですが、考え方としては三角形の相似の考え方が分かっていれば理解できる内容になります。