三角形の角を二等分する線を引いた時に成立する1つの図形的性質があります。
これは高校入試の図形問題でよく出題され、場合によっては大学入試で部分的に扱われる事もあります。
△ABCにおいて線分BC上に点Dがあり、線分ADは∠BACを2等分するという。
(つまり∠BAD=∠CADとなっている。)
この時、線分の長さの比についてAB:AC=BD:CDが成立する。
まず、三角形の1つの角を二等分する線を引きます。これは、例えば60°の角度であれば30°と30°に分割する線を引くという意味です。
次に、その線が1つの辺とぶつかる交点を考えます。すると、じつはその交点は、他の2辺の長さの「比」でその辺を分割しているのです。こういったものは、図で見たほうが多分分かりやすいでしょう。
これを証明するのは比較的簡単です。次のようにします。
(★ただし、入試の問題を解くという観点からは結果の関係式を確実に覚えておいたほうがよいです。しかし仮に忘れた時でも証明は難しくないという事です。)
まず、二等分する角につながる三角形の辺の1つを延長します。次に、二等分する角の対辺の1端から、角の二等分線に「平行」な直線を引きます。すると三角の相似関係により証明ができるというのが簡単な流れです。この時、二等辺三角形ができる事に気付く事も1つの重要な点です。
この関係が中学校の数学、特に高校入試で問われる場合は、単独ではなくて他の図形上の関係と合わせて計算をさせる事が多いと思います。例えば、三角形の相似問題の1つの条件として使われたり、三角形の面積比を計算させるといった具合です。
また、円周角関連の事項と合わせた出題もあり得ます。この手の問題は計算を面倒にさせようと思えばいくらでもそのように問いを作れるので、いくらか練習しておかないといきなり問われた時になかなかうまくいかない事もあろうかと思います。
さて、この三角形の二等分線に関する問いは多いですが、中学での勉強を終えて高校での学習に移る時、そんなに使うのかというと正直あまり使わないと思います。ただし、図形の平行・直角・相似・合同といった考え方は引き続き使用される事があります。
そのため、試験問題を解くという事を抜きにして語るのであれば、重要なのは関係式が成立する「理由」のところだと思います。平行線の性質や相似関係によってこのような事が言えるという事が、本当は一番覚えて理解しておきたいところかとは思います。