分数とは?

分数について初歩的な事項から説明します。

分数の考え方は、小学校だけでなく、中学・高校・大学と続けて使います。

基本的な考え方:半分の事を1/2と書く

分数【ぶんすう】とは、割合を2つの整数(1,2,3など)で表したものを言います。
例えば、「半分」の事を、「2つ分のうちの1つ」という意味で1/2【にぶんのいち】と書きます。
この1/2が、「分数」で表された数という事です。
「3等分したものの1つ」であれば1/3のように書きます。

同じ数になるように分ける事・分割する事を「等分」【とうぶん】すると言います。
この表現を使うと、半分に分ける事を「2等分する」と言う事もできます。

分数は、次のように書いても同じものを表します。
教科書ではこのように書いてある事が多く、答案に書く時もこのようにする事を指導されるのが一般的です。

$$「2等分の1つ」\frac{1}{2}\hspace{20pt}「3等分の1つ」\frac{1}{3}\hspace{20pt}「4等分の1つ」\frac{1}{4}$$

1/2の、等分している数「2」を「分母」【ぶんぼ】と言います。
また、1/2の「1」を「分子」【ぶんし】と言います。
3等分したものを2つ集めると、2/3のような分数になります。2/3の分母は3、分子は2です。

1/2を3つ集めた3/2のような分数を考える事もできます。
1/2を「2ぶんの1」と読むのと同じように、3/2は「2ぶんの3」と読みます。
(2/3が「3ぶんの2」である事との区別に注意。)

半分が2つあれば、もちろん1になります。3等分したものを3つ集めれば1個に戻ります。これを式で書くと、1/2+1/2=1 あるいは (1/2)×2=1という形になります。

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{2}=\frac{1}{2}×2=1\hspace{20pt}\frac{1}{3}+\frac{1}{3}+\frac{1}{3}=\frac{1}{3}×3=1$$

分数の足し算は次のようにも書きます。

$$\frac{1+1}{2}=1\hspace{20pt}\frac{1+1+1}{3}=1$$

このように、「分母が同じ」分数は、分子だけで足し算や引き算を計算できます。

$$\frac{2}{5}+\frac{1}{5}=\frac{2+1}{5}=\frac{3}{5}\hspace{20pt}\frac{1}{4}+\frac{3}{4}=\frac{1+3}{4}=\frac{4}{4}=1$$

分数は本質的に「わり算」と同じ

「半分が2つ」あるとおおもとの1個に戻るので、もし「半分が4つ」あればおおもとの2個分になります。
「半分が6つ」あればおおもとの3個になります。
分子が「分母の数の倍数(2倍、3倍、4倍、・・)」であると、分数は整数に等しくなります。

$$\frac{2}{2}=1\hspace{20pt}\frac{4}{2}=2\hspace{20pt}\frac{6}{2}=3\hspace{20pt}\frac{8}{2}=4$$

$$\frac{3}{3}=1\hspace{20pt}\frac{6}{3}=2\hspace{20pt}\frac{9}{3}=3\hspace{20pt}\frac{12}{3}=4$$

これをよく見ると、分数とは「わり算」と同じ計算をしている事が分かります。
9÷3=3、12÷3=4ですが、これを分数で9/3=3、12/3=4と書いても同じ計算であるという事です。割り算で「あまり」がでる場合も含めて分数で表せるとも、言えます。5÷3=「1あまり2」ですが、これを分数で書くと5/3と書けます。5/3=3/3+2/3と書く事もできて、「3等分」を基準にした時に確かに2個分のあまりが出る事が分かります。

1/2という分数をさらに2で割ると、「半分の半分」、つまり1/4になります。1/2という分数をさらに3で割ると「半分の3等分」が2つできるので、つまりおおもとの1に対して6等分(=2×3)された数になります。このように、分数を割る時は「分母同士」をかける計算になります。

$$\frac{1}{2}÷2=\frac{1}{2}×\frac{1}{2}=\frac{1}{4}\hspace{20pt}\frac{1}{2}÷3=\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=\frac{1}{12}$$

分数を分数でわる計算については「分子と分母を入れ替えてかける」という操作をします。この計算はつまづきやすい所かと思いますが、別途に詳しく説明しています。

8等分して1/8を考える事は、1÷8という計算をする事と同じです。

「通分」の計算

1/3+1/3=2/3と計算できますが、1/2+1/3という足し算はそのままではどのような数になるのかよく分かりません。この時、分母の2と3について、2の倍数でもあり3の倍数である数を考えます。
6は2の倍数でもあり3の倍数でもあるので、6を使って1/2=3/6, 1/3=2/6と考えて
1/2+1/3=3/6+2/6=5/6のように計算します。
この「分母を同じ数にそろえる」作業を「通分」【つうぶん】と言う事があります。

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{3}{6}+\frac{2}{6}=\frac{5}{6}\hspace{20pt}\frac{1}{4}+\frac{1}{3}=\frac{3}{12}+\frac{4}{12}=\frac{7}{12}$$

3/7+2/3のような計算も同じようにします。これを通分すると分母は21になります。(3×7=21で見つけます。)この場合、分母に対する数と同じものを分子の数にもかけます。3/7の分母を21にする時、分母を3倍しているので分子も3倍にします。

$$\frac{3}{7}+\frac{2}{3}=\frac{3×3}{21}+\frac{2×7}{21}=\frac{9+14}{21}=\frac{13}{21}$$

1/2+1/3の計算で、2の倍数でもあり3の倍数でもある数は6だけでなく12や18もそうです。これらの数を使って「通分」して計算をしても同じ結果になります。(同じ結果になるので、普通は両方の分母の数の倍数であるもののうち「一番小さい数」を使います。)

$$\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{6}{12}+\frac{4}{12}=\frac{10}{12}=\frac{5}{6}\hspace{20pt}\frac{1}{2}+\frac{1}{3}=\frac{12}{24}+\frac{8}{24}=\frac{20}{24}=\frac{5}{6}$$

「約分」の計算

10/12=5/6という計算では10=2×5、12=2×6なので、
2を基準にした時に1/6の5個分である5/6と同じになるという事を言意味します。
5/6に2をかけて2でわるともちろん5/6のままなので、
5/6=(5/6)×2÷2=10/12と考える事もできます。

$$\frac{5}{6}=\frac{5}{6}×2÷2=\frac{5}{6}×2×\frac{1}{2}=\frac{10}{12}$$

10/12のように、一般的に分母の分子に共通の倍数(「約数」【やくすう】)があるとき、その数で分母と分子の両方をわる事ができます。この操作を約分【やくぶん】と言います。
10と12は、どちらも2の倍数である(「2を『約数』に持つ」)ので、分母と分子にあるときは2で割ってよいという計算になります。21/27のような場合、分子と分母を3で割って7/9になります。

$$\frac{6}{8}=\frac{3}{4}\hspace{20pt}\frac{12}{15}=\frac{4}{5}\hspace{20pt}\frac{21}{27}=\frac{7}{9}\hspace{20pt}\frac{10}{100}=\frac{1}{10}$$

6/8と3/4は同じ値を表します。

中学校以降で扱う分数では、一般に実数a,bを使ってa/bと分数を表してよい事になります。ただしこの時、b≠0という条件が課されます(特に高校数学以降では注意。)この時、aやbは負の数であってもよいし、2の平方根や円周率のような無理数であっても構いません。
計算規則は全て通常の分数と同じです。 $$任意の実数aと「0以外の任意の実数」bに対して\frac{a}{b}を考える事ができる。$$ $$例:\hspace{10pt}\frac{1}{\sqrt{2}}\hspace{20pt}\frac{-1}{2}\hspace{5pt}\left(= -\frac{1}{2}\right)\hspace{20pt}\frac{\pi}{3}$$