円を表す式【直交座標】

直交座標上で円を表す式について説明します。

基本となるのは図形としての円の定義と、三平方の定理(2点の距離)です。

1点からの距離が等しい点の集合:円

y=2xなどの1次関数は直交座標上で「直線」になり、y=xなどの2次関数は「放物線」になります。

では具体的に他の特定の図形、
例えば「円」の形になるように直交座標上での式を考えるとしたらどのようになるでしょうか。

結論を言うと次のようにします:

直交座標上で円を表す式

点(a,b)を中心とする半径rの円は、
(x-a)+(y-b)=r で表される。

これは何を言ってるのかというと「点(a,b)から点(x,y)までの距離がrですよ」という事です。これを満たす点(x,y)は点(a,b)を中心とする半径rの「円周上」に必ずありますよ、という意味です。

平面幾何での円の定義を思い出してみると、円とは「1点からの距離が等しい点の集まりで構成される図形」でしたから、これは適切という事になります。

そして2点間の距離は三平方の定理を使って出せばよいので、上記のような2乗を含んだ式になるわけです。特に原点を中心とする場合はx+y=rという形になります。

この時、(x-1)+(y-2)=4のような形で、右辺が2乗の形として明示しなくても円の式を表します。この場合には4=2のように書けるので、(1,2)を中心とする半径「2」の円という事です。

理屈自体は以上で終わりで、意味さえ理解すれば難しいものではないと思います。

そのうえで、高校数学でさらに問われる内容をいくつか挙げます。

まず1つは、関数y=f(x)の形で円を表すとどうなるかという事です。

上記のx+y=rのような形も、一応関数の仲間ですがこのようなF(x,y)=0の形の式を「陰関数表現」と言ったり、その中のyを「陰関数」と言ったりします。逆にy=f(x)の形になっている事は「陽」に表わされていると言う事があります。

円の式の場合は、式を変形してy=f(x)の形にする事は比較的容易です。次のようになります。

$$原点中心の場合:x^2+y^2=r^2\Leftrightarrow y=\pm \sqrt{r^2-x^2}$$

$$一般の場合:(x-a)^2+(y-b)^2=r^2\Leftrightarrow y-b=\pm \sqrt{r^2-(x-a)^2}\Leftrightarrow y=\pm \sqrt{r^2-(x-a)^2}+b$$

プラスマイナスの符号は、原点中心の円であればx軸を境にした円の上側か下側かであるかを言っています。積分で円の面積を計算する場合などは、この形の式を使います。

ただし、図形同士の交点を調べる場合などは、無理にy=・・の形にしないで2乗の形のままで計算したほうが楽である場合も多いです。

円と図形との交点問題

円x+y=2と直線y=x+1の交点の数を調べる場合、円の式のyに直接y=x+1を代入して2次方程式の形にして実数解がいくつあるか調べるといった形になります。

グラフを描くと「明らか」である場合もありますが、式で示すなら次のようになります。
+y=2にy=x+1を代入して、
+(x+1)=4
⇔2x+2x-3=0

ここで2次関数2x+2x-3はx軸と2交点を持つので(x=0で負の値なので)2次方程式の解は実解が2つあり、円と直線の交点は2つというわけです。もし2次方程式が重解を持てば円と直線は「接する」という事になります。この計算をよく見ると、計算方法自体は放物線の時とほぼ同じという事も分かります。

さて、では円同士の交点の場合はどうなるでしょうか。

この場合、直線と放物線との関係の場合と異なり、y=・・の形を代入しようとするとかなり面倒です。そのため、結論を言うと2乗を含んだままの形でまず処理し、1次式の形にする工夫をします。
具体例で見てみましょう。

■問い:2つの円(x+1)+(y-1)=3と(xー1)+(y+1)=7があるという。
これら2つの円の交点はいくつありますか。

この場合、どちらの式にもx、yの項とx、yの項がともにあります。
これらをどう処理すればよいかという話です。

まず、片方の円の式からx+y=・・の形にします。

(x+1)+(y-1)=3
⇔ x+2x+1+y-2y+1=3
⇔ x+y=2y-2x+1

これを、もう片方の式に代入します。
まず2乗部分を計算して、x+yの部分にまとめて代入するという事です。

(x-1)+(y+1)=7
⇔ x+y-2x+1+2y+1=7
これにx+y=2y-2x+1を代入して、
(2y-2x+1)-2x+1+2y+1=7
⇔ 4y-4x+3=7
⇔ y=x+1

ここで得られたyとxの1次式の関係は何を意味するかというと、特に「2交点を持つ場合」にはその2点を通る直線になります。このy=xの関係を、2つの円のどちらにでもいいので代入します。ここでは最初のほうの円に代入します。

(x+1)+(y-1)=3にy=x+1を代入して、
(x+1)+x=3
⇔ 2x+2x-2=0 ⇔ x+x-1=0
この2次方程式は異なる2実解を持つので、
2つの円は異なる2つの交点を持ちます。【解答】

尚、ここでもし交点を持たない(最後の2次方程式の形で実解を持たない)場合には、途中で得られる1次式の関係はもちろん2交点を結ぶという意味は持ちません。

また2交点を持つと分かった時の具体的な座標は、xが分かった時点でy=xの1次式のほうにxを代入すればyが分かるのですが、xをもしも円のほうに代入してyを出そうとするとさらに2つの解が出てくる場合があります。これは、直交座標上の円には端っこの2点を除いて、1つのx座標に対応する点が必ず2つ存在するからです。その時には片方の点だけが2交点の1つになります(2交点を結ぶ直線がx軸に垂直の場合を除きます。)

特定の点を通る円

少し面倒くさいタイプの高校数学の問題として、「ある1点を通る円」「ある2点を通る円」などが扱われる場合があります。

特定の点(A,B)を通る半径Rの円の場合、
中心の座標を(r,r)とすると (r-A)+(r-B)=Rという関係式ができますから、中心の座標を動かせるとすれば「軌跡は (A,B)を中心とした『半径R』の円」という事が言えます。

では「ある2点を通る円」ではどうなるかというと、半径が一定であれば図を描くとおそらく「2パターン」しかあり得ない事が予想できますが、実際そうなるのです。
(A,B)と(C,D)の2点を通り、半径がR、中心の座標を(r,r)とすると
(r-A)+(r-B)=R および
(r-C)+(r-D)=Rの2式ができます。

そこから先の計算は、まずr+r=・・の形の式に変形して、もう片方に代入します。すると、rとrの1次式の関係を作れます。これは、(A,B)と(C,D)の2点を通る直線の式です。要するに、円同士の交点を調べる時の計算と同じです。

さらにr=・・の形を円のどちらか片方の式に代入すれば2次方程式になりますから、半径一定のもとで実数解は多くても2つ、つまり中心の座標は2パターンだけで他はあり得ないという事が式でも示されます。
(ここで、半径が小さすぎてそもそも所定の2点を通りようがない場合には実解がない結果になります。また、重解になる場合は2点のちょうど中点に円の中心が来る場合です。)

この場合に途中の計算で出てくるxとyの1次式は、(A,B)と(C,D)を結ぶ線分に垂直で、線分の中点を通る直線になります。

定点を通る円

では、「3点を通る場合」はどうでしょう?この場合、中心と3点の関係を表す式が3つできます。いずれも、中心を動かせるとすると「円の式」の形になります。この時、まず1つを使ってr+rを残り2式のそれぞれに代入し、2乗を消して1次式の関係にします。

ところが、この場合は1次式の関係が2つできて「連立一次方程式」になってしまいますから、
とrが満たす解があるとすれば1つという事になります。

この時、異なる2点を通る場合と違うのは、rとrの値を計算する時に円の半径は必要ないという事です。異なる2点を通る場合には、最後の2次方程式に半径が必要です。

それに対して異なる3点を通る場合には半径が「消えた」状態でrとrの連立一次方程式が出てきます。

式で書くと、まず(r,r)と3点までの距離が等しいという3式を考えます。
(r-A)+(r-B)=R
(r-C)+(r-D)=R
(r-E)+(r-F)=R

第1式から
+r=2Ar-A+2Br-B+R であり、
これを第2式と第3式の両方に代入します。

すると、
2(A-C)r-A+C+2(B-D)r-B+D=0
2(A-E)r-A+E+2(B-F)r-B+F=0
という2つの式になりますが、この時点でRは消えているわけです。
これは最初の3式でともに「等しい距離R」を使ったためです。
(一見ごちゃごちゃした式ですが、rとrに関して見れば1次式です。)

そこで連立1次方程式からrとrを確定させると、もとの式に代入すると半径であるRもそれによって決まらないとおかしい話になります。つまりこの場合は、中心座標が1つに決まる事に加え、半径も1つに決まるという事です。

ここでじつはもう1つ細かい注意点があって、
それは連立1次方程式は「解を持たない」場合があるという事です。

「そんな場合ありましたっけ。」と思われるかもしれませんが、単純な話で、
x+y=2 かつ
x+y=3
のような場合の事です。
これは、ここでは異なる3点が「同一直線上」にある場合に発生します。ですので、その場合に限っては最後の連立1次方程式の解がないので、3式を満たすrとrは「存在しない」という事になります。

まとめると、「『同一直線上にない』異なる3点」を通る円はただ1つしかなく、しかも半径も1つに確定するという事になります。また、同一直線上にある異なる3点を通る円は存在しないという事にもなります。

2次関数を表す式と放物線【図形と式】

高校数学での、直交座標上での図形的な性質と関連させた2次関数の式、および問題を解くコツについて説明します。

およそ、センター試験の出題範囲レベルに対応できる程度の問題について解説します。

2次関数と放物線の関係

2次関数を表す図形と高校数学での考察点
2次関数の「頂点」
参考:頂点を調べる別の方法・・2次方程式の解、微分 

2次関数を表す図形と高校数学での考察点

2次関数自体は中学校でも教わるかと思いますが、高校数学だとより自由自在に平面の中での図形的な考察を、式によって(手計算で)進める事が行われます。

2次関数が直交座標上で表す形は「放物線」です。最大値と最小値のどちらか1つを必ず持ち、x軸の無限遠方では必ず+側に無限大になるか-無限大になるのかのどちらかになります。

$$2次関数\hspace{5pt}Ax^2+Bx+C\hspace{5pt}が表す図形:「放物線」$$

この式で、Aの値がプラスであれば「下に凸【とつ】」の形、逆にAがマイナスであれば逆さまの「上に凸」の形になります。

尚、A=0であれば1次関数になってしまうので、その場合に限っては図形は放物線にならず直線になります。

このように、式の中での性質や特徴が、図形的にはどのような意味を持つのかを理解しておく事が問題を解くうえでのポイントになります。

2次関数と放物線①

2次関数の「頂点」

2次関数が、直交座標上でどのような場所にあるかを見るには、「頂点」の位置を調べます。

そのために、2次の項と1次の項を2乗の形に変形します。

★尚これは2次関数であるから必ず、しかも簡単にできる操作で、3次式以上だと一般的にはそううまくはいきません。3次式の場合は高校数学の手計算では多くの場合、微分を用いて調べます。簡単に後述しますように、2次関数でも微分の手法を使う事は可能です。

例えば次のような具体的な2次関数については次のようになります。

$$x^2+4x-6=(x+2)^2-4-6=(x+2)^2-10$$

この時関数はx=-2を代入すると最小値-10を持ちます。これは最後の式にそれを代入して直ちに最小値を得るのですが、間違いのないようにもとの式に代入してみるのもよいでしょう。
(-2)・(-2)+4・(-2)-6=4-8-6=-10ですから確かに合っています。

この時、2次関数が最小値をとる座標である(-2,-10)をこの2次関数の「頂点」と呼ぶのです。

2次の項がマイナスでも同じ操作をします。

$$-x^2+4x-5=-(x-2)^2+4-5=-(x-2)^2-1$$

この時は、2次関数はx=2で最大値-1を取ります。この最大値をとる座標(2,-1)がこの2次関数の「頂点」です。

関数の中の係数が未知数である場合も同様です。

$$x^2+(A-2)x+1=\left(x+\frac{A-2}{2}\right)^2-\frac{(A-2)^2}{4}+1=\left(x+\frac{A-2}{2}\right)^2-\frac{A^2-4A+4}{4}+1$$

$$=\left(x+\frac{A-2}{2}\right)^2-\frac{A^2}{4}+A$$

この例の場合、最小値の値もAに関する「2次式」ですから、問題の形式によってはさらに計算が続きます。高校数学だと、この手のタイプの問題のほうが問われやすいかもしれません。応用問題についても後述しているので必要に応じて参照してください。

参考:頂点を調べる別の方法・・2次方程式の解、微分

2次関数で、x軸との交点が2つある場合に限って言えば、x軸との2交点の中点のx座標が頂点のx座標に等しくなります。そのため、ものによっては、2交点を先に出してしまって中点を考えて頂点を出す事もできます。例えば次のような感じです。

$$x^2+2x=x(x+2)より、x=0,-2でx軸(y=0直線)と交わる。よって、頂点のx座標は-1$$

解けるなら何の手法を使ってもよいのですが、複数の手法を知っているとチェックとして使えるでしょう。

参考までに、2次関数の頂点の位置を調べるには、微分を使う事もできます。センター試験では微分を使わなくても問題を解けるように必ず作ってあるので微分を使う必要はないですが、解答が合っているかどうかのチェックなどに使う事ができます。

上記の例だと例えば次のようになります。 $$(x^2+4x-6)^{\prime}=2x+4$$ $$(-x^2+4x-5)^{\prime}=-2x+4$$ $$\{x^2+(A-2)x+1\}^{\prime}=2x+A-2$$ $$(x^2+2x)^{\prime}=2x+2$$ これらの「導関数」が0になる値が、2次関数の場合では最大値あるいは最小値をとるxの値、すなわち放物線の頂点のx座標になります。(他の関数の場合には直ちに最大または最小となる値とは言えないので注意。)
本質的には、2次関数の頂点は手計算では平方完成によっても微分によっても、本来はどちらの方法でも調べる事ができるのです。

2次関数と放物線に関する応用問題

2次関数の最大値・最小値に関連させた問題
定義域が限定された場合の最大・最小
直線と放物線の交点問題
2つの放物線同士の交点 

2次関数の最大値・最小値に関連させた問題

$$■問い:2次関数y= x^2-4x+5はx軸と何個の交点を持ちますか。$$

こういった問題の場合には、式変形して図形の様子を見て調べます。

$$x^2-4x+5=(x-2)^2+1$$

であり、最小値は1です。という事は、x軸(直線y=0)との交点は存在しません。交点の数は0個です。【解答】

こんな具合です。

ただし、大学入試等での問題では、こういったシンプルな問題はあまり出してくれません。もう少し計算の手順が必要な形で出題されると考えるべきでしょう。

例えば、2次関数の係数も未知数である場合には計算はさらに続き得ます。上記でも例に挙げた2次関数を使って見てみましょう。

$$■問い:2次関数y=x^2+(A-2)x+1はx軸と何個の交点を持ちますか。(Aは実数とします。)$$

$$x^2+(A-2)x+1=\left(x+\frac{A-2}{2}\right)^2-\frac{A^2}{4}+A$$

このように最小値自体がAの値によって変化し、しかもAに関する2次式ですので今度は2次方程式を解く作業になります。

$$-\frac{A^2}{4}+A=-A\left(\frac{A}{4}-1\right)$$

この場合はあっさり因数分解できるので、0と置いた時の解が分かります。A=0または4の場合に、「もとの2次関数の最小値」が0になるわけです。その時、もとの2次関数とx軸との交点は1つだけです。頂点がx軸に接する形になります。

また、0<A<4の時には「もとの2次関数の最小値」がプラスの値になってしまいますから、もとの2次関数とx軸の交点は存在しません。

A<0またはA>4の時には「もとの2次関数の最小値」はマイナスで、xの値を増やすあるいは減らす事で関数の値は大きくなっていきますからx軸と確実にぶつかります。ですからもとの2次関数とx軸との交点は2個です。

ですので、A<0またはA>4のとき交点は2個、A=0またはA=4のとき交点は1個、0<A<4のとき交点は0個という、場合分けを含んだ答えになります。【解答】

2次関数と放物線②
A<0またはA>0の時、最小値がマイナスの値になり、もとの2次関数は下に凸の形の放物線ですから必ずyの値が0になる点が2つ存在する、すなわちx軸と2点で交わるという事です。

この例での2次関数の場合、最小値がAに関する上に凸の2関数なので、「最小値が取り得る値の中にも最大値がある」という性質のものになります。具体的にはA=2の時に「最小値の」最大値が1になり、Aが全実数の中のどの値であってももとの2次関数の頂点に相当する最小値は1を超えない事を意味します。これは1次の項の係数が0の時です。

定義域が限定された場合の最大・最小

もう1つ重要な出題として、定義域(xの範囲)を限定した範囲での最大値や最小値を問うタイプのものがあります。

これはどういうものかというと、例えば下に凸である2次関数の最小値は通常は頂点のy座標ですが、そのx座標が定義域に含まれていない時には定義域の端点で最小値をとります。

■問い:0≦x≦2の範囲で、y=x-2px+4について
①:x=2で最小値をとるためのpの範囲はどのようになりますか。
②:x=2で最大値をとるためのpの範囲はどのようになりますか。

この手の問題における2次関数の性質自体は正直、大学以降の数学であまり重要とは言えないと思いますが、2次関数のグラフの性質の理解度を問う出題という事でしょう。

まず、1次の項に未知の係数pがありますから頂点のx座標もy座標も変化するパターンです。

y=x-2px+4=(x-p)+4-p

①:ここで、通常であればx=pで最小値をとるという事になりますが、「x=2で最小値をとる」という条件があり、さらに0≦x≦2というxの範囲の指定もあるのでp≧2であれば、常に対象の2次関数は定義域の端点であるx=2で最小値をとります。なのでp≧2です。【①の解答】

これは、式だけでは分かりにくいのでグラフを見ながら様子を把握したほうがよいでしょう。

②:次に所定の場所で最大値をとる場合です。通常であれば下に凸の2次関数は無限に大きくなるので最大値はそもそもありませんが、ここでは閉区間としてxの範囲が指定されているので最大値を持つという事です。

頂点の座標x=pが動き、定義域が閉区間[0,2]、x=2で最大値をとるという条件です。

この場合には、逆にp≦2であれば済む話かというとそうでない事が「ひっかけ」です。
頂点が閉区間[0,2]の中点よりも右半分側に来ると、今度は区間の反対側の端点であるx=0でyが最大値になってしまいます。頂点の座標がp=1の時にx=0,2の両方で最大値になります。つまり、x=2で最大値になるにはp≦1という事です。【②の解答】

このように、高校数学だと多少ひねりを入れた計算をさせる場合があります。やっている事自体は難しくないのですが、慣れていないと突然問われた時にとまどってしまうでしょう。

直線と放物線の交点問題

1次関数である直線と、2次関数である放物線の交点を計算させるような問題は、センター試験レベルだと問われる事があります。

考え方は難しくありません。

1次関数と2次関数を等号で結んで方程式を作り、2次方程式の解を出せばよいのです。

解が重解の場合には交点は1つだけで、直線は放物線の接線になります。また、解が複素数解になる場合には交点はないという事に対応します。

$$■問い:直線y=x+2と放物線y=x^2-x-3の交点はいくつありますか。$$

まず、等式で結びます。それから、解の様子が分かるように変形します。

$$x+2=x^2-x-3\Leftrightarrow x^2-2x-5=0$$

$$\Leftrightarrow (x-1)^2-1-5=0\Leftrightarrow (x-1)^2=6$$

のようになるので、これは異なる実数解を2つ持ちますね。したがって、交点は2つ存在します。【解答】

「2乗=正の数」となる事で異なる2つの実数解が存在する事が分かります。「2乗=0」であるなら重解を持ち、「2乗=負の数」であるなら2つの異なる複素数解です。

尚、本当に単に交点の数だけを問う問題であれば2つの図形のグラフを描いてみる事でも答えが分かる場合もあります。上記の例だと2点で交わるので、グラフを描く方法でも分かるでしょう。
ただし、その方法だと交点が1個だけで直線が放物線に「接する」時や、交点を持つのか持たないのか微妙な時の判定が難しい事に注意が必要です。

この手の問題も、式の中の係数に未知数を入れて、「2つの交点を持つ条件は何か」とか「直線が放物線に接するための条件を述べなさい」とか、そういった形でひねった出題がなされる事も多いと思います。やる事は基本的に同じです。

例えば、直線のy切片が変化し得る条件で、直線が放物線に接する条件を考えてみましょうか。

$$■問い:直線y=x+Cが放物線y=x^2-x-3に接するためのCの値は何ですか。$$

ここでもやる事は同じです。2式を等号で結びます。

$$x+C=x^2-x-3\Leftrightarrow x^2-2x-3-C=0$$

$$\Leftrightarrow (x-1)^2-4-C=0$$

ここで、4+C=0になれば重解を持ちますのでC=-4の時に直線は放物線に接します。【解答】

■参考:この問題に関しても、微分を使う事もできます。 $$(x^2-x-3)^{\prime}=2x-1$$ であり、この導関数の値が接線の傾きですから、
2x-1=1⇔x=1
これが、もとの2次関数に対して「傾きが1である接線」が接する点のx座標です。これを2次関数の式に代入するとy座標も得られます。
その点の座標は(1,-3)です。 y=x+Cがこの点を通るとすると、
-3=1+C⇔C=-4【解答】
さらに、x-2x-3-C=0が重解を持つための条件を出す場合にも微分を使えます。左辺を関数とした時にx軸に接する、つまり極小値をとるy座標の値が0であるので、導関数2x-2=0としてx=1、その値を方程式に代入して1-2-3-C=0 ⇔ C=4ともできます。
これらの方法はセンター試験等では不要ですが(出題範囲外なので)、知っていると計算のチェック用に使える事もあります。

2つの放物線同士の交点

出題頻度は低いですが、あり得るパターンとして放物線同士の交点を考える問題もあります。

$$■問い:y=2x^2+2x+1とy=x^2-2x+Cが1点だけで交わるためのCの値は何ですか。$$

等号で2式を結びましょう。

$$2x^2+2x+1=x^2-2x+C\Leftrightarrow x^2+4x+1-C=0$$

$$\Leftrightarrow -(x+2)^2-3-C=0$$

これが重解を持つためにはC=-3です。【解答】

この場合には、1点だけで交わるには接するしかない事が、式からも分かります。仮に、1点で「突き破るように」交点を持った時、別のもう1点で必ず交わってしまうためです。

しかし、放物線同士の場合には、1点だけで「突き破るように」交点を持つ場合もあり得ます。それは、2次の項が等しい場合です。

$$y=x^2+2x+1, y=x^2+x$$

を等号で結んでみましょう。

$$x^2+2x+1=x^2+x\Leftrightarrow x+1=0$$

この場合にx=-1という解が得られますが、2次方程式の重解ではなくて1次方程式の解になっています。これが「突き破って」1点だけで交わっている交点であり、xの値をどれだけ増やしても減らしても、その先の別の点で交わる事はないという事です。

2次関数と放物線③

参考:放物線と円の交点の問題は?

また参考までに、放物線と円の交点を問う問題も高校数学の範囲で、一応あり得るものではあります。

$$放物線y=Ax^2+Bx+Cと円(x-S)^2+(y-T)^2=R^2$$

を考えるわけですが、放物線のyを円のほうの式に代入すると、一般的には4次方程式になってしまいます。

実際、円と放物線を考えると、4点や3点で交わる可能性がある事に対応しています。そのため手計算だと非常に複雑な計算になりがちで、出題する側も調整が面倒と思われるのであまり出ないと思います。

サイト内関連記事【高校数学で扱う関数】

★尚、大学入試では3次関数については、基本的に微積分(特に微分)での出題になります。

直交座標上の直線

直線と1次関数の関係・用語・公式を説明します。

これは中学校でも扱われますが、ここでは高校数学の範囲の事も説明します。

直線は1次関数になり、放物線は2次関数になります。3次関数や4次関数は、微分を使って形を考察するのが普通です(従って微分を使わない範囲では原則として問われません)。

■高校数学としての難易度:この分野の理屈はそれほど難しくはないので、センター試験程度の問題であれば誰でも満点を狙える分野です。ただし、公式を暗記しようと思うと苦しくなるところでもあります。
式と図形がどのように対応するのか、意味を理解して素早く式を組み立てる事が得意になるためのポイントの1つかと思います。一度式を作れば、あとは式変形を繰り返して図形と対応させていくだけです。

直線を表す式

直線を表す式は1次関数 ■ 2点を通る直線の式 ■ 1点を通る直線の式 

直線を表す式は1次関数

直線は、1次関数で表されます。つまり、y = 2x や y=3x+1のような形の式です。

y =2xの「2」のように、xにくっついている比例定数の部分を「傾き」と呼びます。図形上で見た時、その部分が実際に傾いている度合いを表すためです。y=3x+1の「1」のように完全に定数になっている部分を「切片」または「y切片」などとも言います。これは、その値がy軸(x=0を表す直線)でのyの値を表すためです。

「傾き」は、プラスである場合も、マイナスである場合もあります。直交座標上のグラフだと「右上がり」の形の直線です。直交座標上のグラフで言うと「右下がり」の形の直線になります。

尚、傾きが0の直線はx軸に平行な直線で、y=3のような式です。y=0は、x軸に他なりません。
逆にx=3のような式はy軸に平行な直線になります。この場合には傾きが「無限大」という事でもありますが、傾きとしては「表せない」と考える事が普通です。x=0を表す直線はy軸そのものです。

また、高校数学の場合には図形上の角度を使って「傾き」をタンジェント(正接)で表す事もできます。図形と式の問題と見せかけてじつは三角比や三角関数の問題という事もあり得るので、一応知っておくべきでしょう。

一次関数
高校数学の場合、一次関数が図形上の直線の性質とどう対応するのかを数式で表現する事が重要です。座標、図形上の角度、他の図形との組み合わせ、三角関数やベクトルと組み合わせた色々な出題が考えられます。

2点を通る直線の式

高校数学の場合、座標上のてきとうな2点があって、それを通る直線の式はどのようになるかという事を計算させる問題があります。

その式の表し方は、一応「公式」があって教科書にも書いてあると思うのですが、
これは「意味は理解すべきであるが暗記はすべきでない」公式の1つです。

公式?(正しい式ではある)

$$2点(x_1,y_1)(x_2,y_2)を通る直線の式は次式で表せる:$$ $$y-y_1=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_1)$$ $$あるいはy-y_2=\frac{y_2-y_1}{x_2-x_1}(x-x_2)でも同じです。$$

☆POINT:まず最初にこの式を暗記しない
この式は結果としてはそうなるという式であって、最初から丸暗記する事で問題を解くものではないのです。逆に意味を理解しててきとうにいくらか練習をすれば、この式を自然に書く事もできるようになるのです。

2点を通る直線の式
図形的な意味を把握してから、覚えられるのであれば公式のような形で覚えるとよいと思います。上記の「公式」では、少なくとも傾きの部分は式を覚えるのではなく図形的に把握したほうが早いと思われます。それ以外の部分は、分かりやすいほうで理解したほうがよいと思います。

まず、てきとうな2点があったとして(1,3)と(2,5)だったとしましょう。図に書くと分かりやすいのですが、まず「傾き」を計算します。これは単純な話で、「xの増分で、yの増分で割ったもの」(それが図形上は正接であるわけですが)を計算すればよいのです。ここでの場合、2になります。

公式に当てはめているのではないのです。
yの増分:5-3=2 xの増分:2-1=1
という計算を(頭の中で)しているだけなのです。

$$この時点で、y=2x+C\hspace{5pt}の形の式になる事が分かります。$$

「では、y切片の情報はどうやって知るのですか。」

これも図に書くと分かりやすいのですが、y切片(0,C)から点(1,3)までのxの増分は、もちろん1です。点(1,3)から見ると、y切片(0,C)に至るまでにxは1減少します。

yの増分は、傾きが分かっているので、点(1,3)から見てxが1減少するのであれば、yは1×2=2減少します。・・という事は、点(1,3)のy座標から逆算すれば、y軸上の点は3-2=1ということになり、これがy切片であるCの値なのです。

上記の「公式」は、じつはこの操作をしているのと同等の式なのです。y軸から1つの点のx軸までの距離に傾きをかけ、その値を点のy座標から差し引く事でy切片を出すのと同等の式であるという事です。。

$$結果:y=2x+1$$

図形的に意味が把握できているのであれば、機械的に手早く計算するために上記の「公式」を1点(A,B)を使って「y-B=(傾き)・(x-A)」として覚えてしまってもよいでしょう。覚え方としては「x=A、y=B を代入すると確かに成立する」のような感じでもいいと思います。

ただし最初からそのように丸暗記するのではなく、まずは図形的な意味を理解する事がおすすめです。

正答率を上げるには、間違いがないかチェックする事も大事です。2点(1,3)と(2,5)を通るわけですから、値を代入してみて等式が成立するかを見ます。

$$2\cdot1 +1=3,\hspace{10pt}2\cdot 2+1=5$$

このようになるので、確かに合っている事が分かります。

全て頭の中で計算できるなら一番それが速いのですが、この手の問題は図形的な意味との関連が問われる事も多い都合上、ごく簡単なものでよいので図を描いて解いたほうが無難かもしれません。

1点を通る直線の式

直線がある1点だけを通る事が分かっている場合、もちろんそのような直線は無数にあり、それだけでは直線を表す式も決定しません。

この場合は、ある1点の座標を(A,B)傾きをT、y切片をCとすると式を次のように書けます。

$$y-B=T(x-A)\Leftrightarrow y=Tx+B-AT$$

$$C=B-AT$$

この式も、ある点から点(A,B)までのy座標の増分とx座標の増分の関係を表しているだけなのです。決して、暗記すべきような公式ではありません。

(x-A)がx座標の増分、それに傾きTを掛けるとy座標の増分(y-B)です。y切片については、(0,C)と(A,B)の間の増分の関係を見ればよいのです。yの増分:B-C xの増分:A-0=A ですから、AT=B-Cであり、変形すると上記のようにy切片であるCを表す事ができるのです。

図に描くと分かりやすいでしょう。

1点を通り傾きが分かっている直線の式
1点を通る事と傾きの値だけが情報として分かっている場合の計算です。

この場合もやはり式を暗記するのではなくて、図形と対応させて意味を理解したうえで、式自体もすぐに書けるように練習しておく事が得意になるポイントの1つです。

応用問題①:平面上での「平行」と「直角」の式での表し方

平行の表し方 ■ 直角の表し方

平行の表し方

2つの直線が平面上で平行になる場合、直角になる場合など、より図形的な直線の状況を表すために式を計算させる問題も存在します。

まず平行の場合ですが、これは簡単で、「傾きが等しい」直線同士は直交座標上で平行になります。もちろん、それでy切片も同じであれば全く等しい直線ですから、異なる平行2直線であれば「傾きは等しくy切片は異なる」という条件になります。

平行という事は、もちろんそれら2直線は交わらないという事です。式で見た時には、連立方程式にしてみるとy切片が異なる値の時は2式を同時に満たす(x,y)の組は存在しないという事でもあります。一応、その事も念頭に置いておくとよいかもしれません。

直線の平行条件と直交条件
平行・直角に交わるという平面上の2直線に関する様子を、傾きが満たす条件で表す事ができます。

直角の表し方

次に直角の場合です。2直線が交わり、なす角が直角であるという場合です。この場合は、「傾き同士の積が-1」になります。こういうものに関しては、1つの「公式」として結果を把握しておいたほうがよいと思います。

公式:直交する2直線の傾き

直交する2直線の「傾き」同士の積は、必ず-1になる。

この「直線同士が直交」する事に関して、高校数学での出題としては図形に対する接線と法線の関係は問われやすく、特に円に対する接線と法線の関係にも注意しましょう。図形問題としてだけでなく、それを式で表現させるという出題が高校数学ではなされる場合があります。

証明:直交する2直線の「傾き」同士の積は-1である

もちろん、傾きの積がー1になれば直角であるという事は、自明ではありませんね。そもそも、個々で言う「直交する」事が図形的な意味で使われているので、これを式ではどう考えるのかを解釈する必要があります。

証明の方法はいくつかありますが、ここでは三角関数を使う方法とベクトルを使う方法を紹介します。

三角関数を使う場合、傾きはタンジェントで表せる事を上記で軽くふれましたが、これを利用します。

【証明①:三角関数を使う方法】

$$\tan \alpha \tan \beta=\frac{\sin \alpha}{\cos \alpha} \cdot\frac{\sin \beta}{\cos \beta}=\frac{\sin \alpha \sin \beta}{\cos \alpha \cos \beta}$$

$$\alpha -\beta=90° ならば\cos (\alpha -\beta)=0より、\cos \alpha \cos \beta+\sin \alpha \sin \beta=0\Leftrightarrow\cos \alpha \cos \beta=-\sin \alpha \sin \beta$$

$$したがって、\tan \alpha \tan \beta=\frac{\sin \alpha \sin \beta}{-\sin \alpha \sin \beta}=-1【証明終り】$$

べクトルを使う場合は、2直線の交点から直線上の(任意の)点までのベクトルを考えて、内積が0であるして計算します。

【証明②:ベクトルを使う方法】

2つの傾きをS,Tとします。(A,B)からのx座標の(任意の)増分Xを考えて(A+X,B+SX)と(A+X,B+ST)を考えます。これらは直線上の座標点でもありますが、ベクトルとしても考える事ができるのです。

ベクトルとして考えた時、直交するという条件は「内積が0」という条件になります。

この時、内積をとるベクトルは(A+X,B+SX)-(A,B)=(X,SX)と(A+X,B+TX)-(A,B)=(X,TX)です。(ベクトルの考え方で言うと、原点に平行移動させて考えてもよいという事です。)

内積を計算すると、直交する条件のもとでは

$$(X,SX)\cdot(X,TX)=0\Leftrightarrow X^2+STX^2=0\Leftrightarrow X^2(1+ST)=0$$

この式が任意のXについて成立するには1+ST=0⇔ST=-1
すなわち、直交する2直線の傾きの積はー1になるという事です。【証明終り】

参考までに、平行や直角ではなく、特定の30°とか45°で直線同士が交わるという条件が仮に問われた場合は、傾きをタンジェントで表して、三角関数の加法定理で対応するという手法を使えます。これについてもベクトルを使う方法、あるいは複素数を使う方法等、手法はいくつか考えられます。

応用問題②:他の図形と組み合わせる問題

高校数学の範囲ですと、放物線であるとか円であるとかいった他の図形と直線の関係を問う問題があります。これは、何点で交わるかとか、直線が他の図形の接線になる条件は何か等を問う類のものです。

放物線や円の場合、直線の式とそれらを連立させて、二次方程式を作らせる問題が典型的です。その二次方程式が重解を持つ場合は1点のみで交わる接線という事になり、異なる2つの実数解であれば2点で交わり、異なる2つの複素数解の場合には直交座標上で「交わらない」という事になるのです。

「ある1点を通って、かつ円に接する2直線の式は何か」といった類の問いの場合は、前述の1点を通る直線の式と円を表す式を連立させて条件を調べるといった具合の解法になります。

接線について問う問題の場合、微分が使える場合もあります。センター試験の場合は微分の知識がなくても解ける問題しか出題されませんが、問題によっては通常のやり方と微分によるやり方の2通りで解く事で、解答が正しいかのチェックなどに使える場合もあります。

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